IDC Japanは2013年9月11日、日本に本社を置く企業(Japan-originated Company:JOC)の海外ITサービス支出予測を発表した。2012年の同支出実績は54億900万ドルと推定され、2013年以降もASEANや中国など、アジア各国を中心に成長を継続する見込みとのことだ。

国内経済の低成長や新興国市場の成長を受けて、JOCの海外進出が拡大している。なかでもASEAN、中国といったアジア新興国市場への進出が急激に進んでおり、IDCが海外進出を行っている企業206社に対して行ったアンケート調査でも、市場機会・生産拠点としてASEANや中国は今後の注力地域であるという。JOCの海外進出拡大に伴い、JOC業の海外オペレーションを支えるIT/ITサービス支出も、大きく成長している。

2012年には54億900万ドルであったJOCの海外ITサービス支出は、2017年には69億6,400万ドルにまで拡大すると予測され、この間の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は5.2%となる。これは、同じ時期に1%台の低成長となる国内のITサービス支出と比べても非常に高い。この市場の拡大をけん引するのは、地域的にはASEAN、中国といったアジア/大洋州の各国であり、2012年において同地域がJOCの海外ITサービス支出額全体に占める割合は53.0%だったものが、2017年には57.7%にまで拡大する見込みとのことだ。

国内企業の海外ITサービス支出額予測(2011年~2017年)

JOCの海外ITサービス支出は拡大するが、その過程でITガバナンスが課題となる。IDCが行った調査によれば、特に海外進出の中期段階(海外売上高が10%~60%)の企業で、「本社の把握していない海外IT予算がある」と回答した企業の割合が高くなっている。また成長する市場であるがゆえに、この市場機会をめぐり、国内ITサービスベンダー、グローバルベンダー、オフショアベンダー、海外ローカルベンダーなどさまざまなプレーヤーどうしの競争が激しくなることが予測される。

IDC Japan ITサービス/コミュニケーションズ グループディレクターの寄藤幸治氏は「海外進出を行う企業は、海外進出の全段階を通じ、グローバルなITガバナンスへの意識を強く持ち続ける必要がある。一方、この市場を機会ととらえるITサービスベンダーは、自ら本社と海外現地法人との連携を保ちながら、JOCの海外進出の段階に応じた提案、ソリューション提供を行うべきである」と分析し ている。