Wi-Fi Allianceは9月10日、短距離高速無線通信規格WiGigの認定ブランド名を「WiGig CERTIFIED」とすることを決定したと発表した。WiGig認定ブランドロゴを付与された製品は、2014年初頭より市場に出回る予定だという。
WiGigはIEEE802.11ad規格を基盤にして開発された60GHz帯を用いた短距離高速通信規格で、最大7Gbpsの転送を可能とする技術。そのMAC(媒体アクセス制御)およびPHY(物理)規格はIEEE in 2010のベースとなっている。
また、2013年にWiGig AllianceとWi-Fi Allianceは統合しており、現時点ではその統合作業は終了しており、今回のWiGig CERTIFIEDは、両者が統合した後の初めての相互運用性認証プログラムとなるものとなる。これについてWi-Fi Allianceのマーケティング&プログラム managementディレクターのKelly Davis-Flner氏は、「WiGig CERTIFIEDは、Wi-Fi CERTIFIEDの優れたユーザー体験をさらに拡張させ、刺激的な新しいアプリケーションを実現することが可能となる」と語る。
ロゴのデザインは、WiGigが実現するスピードやダイナミクスを表現したものとなっており、実際の製品へ付与される場合、多くの製品でWiGigだけでなく、Wi-Fiにも対応するため、両方対応の機器にはWi-Fi CERTIFIEDも含めた特別版のロゴが用いられることになる。
WiGig CERTIFIEDのロゴマーク。2014年初頭以降、WiGig対応製品にはこのマークが付与することとなる |
こちらはWi-FiおよびWiGigの両方に対応している機器に付与されるマークになるという |
このWiGig CERTIFIEDの提供により、WiGig搭載端末間の基本接続における相互運用性が保証されるようになるほか、Wi-FiとWiGigを統合した端末における周波数60GHzと5GHz/2.4GHzのシームレスな自動セッション転送が可能となり、WiGigの範囲から離れてしまっても、自動的に5/2.4GHzへと移行するといったことが可能となる(アーキテクチャとしては、5GHz/2.4GHz(IEEE802.11a/b/g/n/ac)と60GHz(WiGig/IEEE802.11ad)の各ベースバンド&下位MACの上に、共通上位MACがマルチバンドオペレーションを管理する仕組みとなっている)。
2014年に提供開始される最初のWiGig CERTIFIEDでは、デバイスツーデバイスおよびネットワーキングモデルの接続性が提供されるが、すでに2015年以降の相互運用性認定を目指した各種プロジェクトとして、例えばWiGigを使用する追加アプリケーションに対応するため、家庭やオフィスでケーブルを使わずに周辺機器やディスプレイなどに接続する「ドッキング」、部屋を隔てたデバイス間で非圧縮ビデオをストリーミングやミラーリングすることを可能とする「ディスプレイ」、ワイヤレスのシリアル接続に向けた「シリアルバス」、SDやPCI Express経由の入出力の実現などが、進められているという。
WiGig Alliance時代から開発されてきたProtocol Adaptation Layer(PAL)により、60GHz帯を活用してデータ通信やディスプレイ向けインタフェース規格のサポートが可能となっている。これにより、この図のようにMACとPHYで直接実行される標準インタフェースへの無線環境の提供が可能となる |
また、こうした取り組みに合わせ、WiGigの普及に向け、USB Implementers Forum(USB-IF)と、Media-Agnostic USB Specification(メディア非依存のUSB仕様)の基盤形成に向けたWi-Fi AllianceからUSB-IFへのWiGig Serial Extension Specification(WiGigシリアル拡張仕様)の移管を進めており、WiGig/Wi-Fi製品へのUSB機能の実装が可能になるほか、Video Electronics Standards Association(VESA)とDisplayPortを使用した製品認定の実現に向けた取り組みを進めているとのことで、これらの取り組みにより、将来的には、さまざまな機器でWi-Fi/WiGigと各種インタフェースを連携させることが可能となり、多様なアプリケーションを活用して最適なユーザー体験を提供できるようになるとしている。