計測機器大手Agilent Technologiesの日本法人であるアジレント・テクノロジーは9月6日、任意波形発生器「Agilent M8190A」向けにストリーミング機能とマルチチャネル化拡張機能を追加すると発表した。
ストリーミング機能により長時間再生が可能となり、マルチチャネル化拡張機能により最大12チャネルの同期した信号発生が可能となる。これにより、レーダや広帯域伝送アプリケーションにおいて、より実環境に近い波形が発生でき、高度なシミュレーションが実現する。例えば、レーダアプリケーションにおける航空機のフライトシミュレーションは、従来、1度に数ミリ秒しか行うことができなかったが、今回の機能拡張により全フライト時間のシミュレーションが可能となった。また、リアルタイムで発生した事象を元に信号シナリオを変更することが可能となり、より現実的な試験を実現している。
ストリーミング機能は、メモリに新たな波形をダウンロードしながら、波形を発生させることができ、テスト効率の大幅な向上に繋がるという。従来、任意波形発生器の信号波形をリアルタイムで変更することはできなかったが、独自のASICによって「M8190A」が発生する信号の振幅、周波数、位相を即座に変更することが可能となった。これにより、波形発生中にパラメータを変更できるため、効率的なマージン試験を行うことができる。
マルチチャネル化拡張機能を利用するには、同期モジュール「Agilent M8192A」が必要となる。同モジュールは、レーダ試験、位相アレイアンテナなどの複雑な信号のシミュレーション、多チャネルMIMO通信の出力源など、マルチチャネルを要するアプリケーションに最適となっている。
ストリーミング機能は無償のファームウェアアップグレードにより利用可能となる。「M8192A」は、「M8190A」とは別モジュールとなっており、「M8190A」の新規購入時に搭載することも、既存の「M8190A」に追加することも可能となっている。
なお、価格は、「M8190A」が790万円(税別)から、「M8192A」が145万円(税別)。すでに販売を開始しており、「M8192A」の出荷開始は10月を予定している。