日本マイクロソフトは9月5日、Windows XPとOffice 2003が2014年4月9日にサポートが終了することに合わせ、最新のPC環境へ法人ユーザーが移行しやすくする支援策を開始すると発表した。先着500社・団体の中堅中小企業を対象とする「PC購入支援キャンペーン」と、OSとOfficeソフトのセット割引を行う「移行促進キャンペーン」が提供される。
PC購入支援キャンペーン
PC購入支援キャンペーンは、XPからの移行を決めたものの、会計上の問題から予算化が間に合わない法人ユーザーからの声を受けて提供される支援策。同日よりキャンペーンが開始され、2014年3月31日までの期間限定となるが、先着順のため500社・団体の応募で打ち切りとなる。
新しいPCを今年度中に調達しながらも、費用支払開始日を2014年4月まで金利0%で延期することができる。来年度においても一括で予算が確保できない場合、3年で36回の分割支払いのリースメニューも用意される。
キャンペーン対象企業は、PCが250台未満の企業や医療機関、公共機関で、先着500社・団体。キャンペーンの適用条件も設定されており、Windows 8 ProまたはWindows 7 Professionalを搭載しているPCの購入とOffice 365のクラウドサービスを契約する必要がある。リース内容や購入PC、Officeの契約内容に合わせて4つのプランが提供される。組み合わせは以下の通り。
プラン | 内容 | Office 365利用期間 | リースメニュー |
---|---|---|---|
A | PC+Office 365 | 3年 | 2014年4月支払開始 36回分割払い |
B | PC+Office 365 | 2年 | 2014年4月一括支払 |
C | 中古PC+Office 365 | 1年 | 2014年4月一括支払 |
D | Office 365 | 1年 | 2014年4月一括支払 |
中古PCについては、Microsoft Authorized Refurbisher(MAR)プログラムに参加するPC再生事業者によってリフレッシュされたPCが提供されるという。マイクロソフトでは、企業や団体が現在所有しているPCの下取りなどを行うことで、初期費用を抑えた調達を支援するとしている。
移行促進キャンペーン
移行促進キャンペーンは、Windows 8 ProとOffice 365のライセンスを同時購入した場合、ライセンス価格を20%割引するもの。キャンペーン期間は同日より11月29日まで。ライセンスは最低3ライセンスから最大249ライセンスとなっており、2回目以降は1ライセンスから購入可能となる。1つの法人・団体が期間中に250ライセンス以上を購入することは出来ない。
Windows 8 Pro搭載PCを新規に購入した場合、Windows 8 Proのソフトウェア アシュアランスとOffice 365 Midsize Businessが20%割引される。ソフトウェア アシュアランスはWindows 8 Enterpriseへの無料アップグレード権などが付与される。
一方、既に所有しているPCのOSをアップグレードしたいユーザーについても、Windows 8 Proのアップグレード ライセンス(ソフトウェア アシュアランス付き)とOffice 365 Midsize Businessの同時購入で20%割引となる。アップグレード対象のOSは、Windows XP(SP3) / Vista / 7。
XPから7、8への乗り換え予定企業は82%まで上昇
同日、日本マイクロソフトは記者会見を開き、同社 代表執行役の樋口 泰行社長と、同社 執行役のゼネラルビジネス 高橋 明宏ゼネラルマネージャーが同施策の説明を行った。
樋口社長は会見で「4月の時点で法人ユーザーが所有するWindows XP搭載PCは1400万台で全体の40%を占めていたが、様々な告知活動を経て9月現在でおよそ30%となる1050万台まで減らすことができた。一部報道では、XPのサポート終了時に500~600万台が残ってしまうと言われているが、今回の施策によって10%未満にまで減らしたい」と施策への期待感を口にした。
1~6月期のPC販売台数は、Windows XPからの移行需要もあり、2012年比で+13%の成長を記録。また、PC販売を伴わないXPアップグレードライセンスについても、7~8月期は2012年比で+76%のセールスを記録したという。
「着実にXPから8への移行は進んでいる。タブレットとして利用できる8の導入によって、新しいワークスタイル、セールスモーションへ移行しようとしている企業が増えている」(樋口社長)
一方、高い安定性や信頼性を求めるため、移行への足取りが重いとされる自治体や教育市場についても、7、8への移行が進みつつあるという。8月時点でマイクロソフトが自治体や教育委員会へのヒアリングを行ったところ、自治体と教育委員会の約7割が2014年4月までに移行を行う意思を表明しているという。
今回の移行支援策は中堅中小企業をメインとしたものだが、現状として「当社が把握している数字として、移行状況は5%~10%程度大企業と比較して遅れている」(マイクロソフト担当者)と説明している。ただ、4月には53%にとどまっていたXPからの移行予定/検討中の企業が、9月の調査では82%まで上昇しており、マイクロソフトはこの各種キャンペーンによって更なる移行を促したい考えのようだ。
しかしながら、中小企業は「IT資産の運用管理について、専任の担当者が就いていない場合も多く、PCを家電量販店から購入したり、個人のものを利用しているケースも多い。XPのサポートが切れることによってどのようなダメージを受けるか認知が必要」(高橋ゼネラルマネージャー)といい、移行の重要性について更なる周知を図る意向を明かした。
「移行にあたって1番の問題はコストであり、次に稟議書」と話す高橋氏は、移行支援ツールとして「分かりやすい XP/2003移行シリーズ」と呼ぶ社内稟議書のテンプレートをWebサイトや法人販売パートナーを通じて提供することを発表した。
10種類のチラシ集を提供し、法人ユーザーの悩みに合わせた解説付きのテンプレートを用意することで、IT担当者が「上司や決裁者、経営者に提案しやすくなる」(高橋氏)としている。