村田製作所は8月29日、微量物質の簡単検出を実現する金属メッシュデバイスを開発したと発表した。
同社では、自動車市場、環境・エネルギー市場、ヘルスケア市場を新規アプリケーション市場と位置づけ、今後の発展分野として注力している。この中で、ヘルスケア市場をはじめ、食品、環境、研究支援などの市場では、微量物質を検出する際、作業の複雑さ、時間当たりの検出回数の少なさ、高額なチップによる高コストなどが課題となっている。そこで今回、金属メッシュデバイスを用いた微量物質検出技術を開発し、新しいコンセプトによって微量物質の簡単な検出を実現した。
同技術は、金属メッシュデバイスの周波数特性から、金属メッシュデバイスに付着した被検出物の有無や量(要検量線)を簡単に短時間で知ることができる。また、金属メッシュデバイスが持つマイクロメートルオーダーの微細構造は、微量物質検出用途だけでなく、大きさによって物質を分けるふるいとしても活用できる。これほど、微細な構造を持ち、孔サイズの揃ったふるいはこれまでになく、微小な物質の精度の高いふるい分けに寄与するとしている。
仕組みは、金属メッシュデバイスに物質が付着すると、金属メッシュデバイス表面での電磁波共振形態が影響を受け、電磁波応答が変化する。この電磁波応答を測定することで、物質を検出することができる。電磁波応答の変化量は、金属メッシュデバイス上にある物質の量と相関があるため、予め検量線を得ておけば相対定量も行うことができる。この電磁波応答の測定は簡単・手軽で短時間に行うことができ、測定システムは小型化、アレイ化することもできる。
同デバイスの特徴として、独自設計による微細構造と機械強度の実現、およびマイクロメートルオーダーの微細構造や薄膜の加工技術、微量物質の簡単検出を挙げられるという。また、用途では、簡単な微量物質検出用デバイスとして、液滴や分子結合(抗体-抗原反応など)、細胞、PM2.5などの検出がある。また、大きさによって物質を分けるふるいとして、粉体や生体試料などの分級に利用できるとしている。