ロームは8月28日、高感度でノイズに強い静電容量式タッチスイッチコントローラIC「BU21079F」を発表した。
電子機器の操作パネルには、いくつものスイッチが並んでおり、その多くに機械式のON/OFFスイッチを採用しているが、近年、スマートフォンの普及によりタッチ操作が広がり、静電スイッチには機械的な摩耗や塵などの侵入による接触不良がないことや、スタイリッシュなデザインを実現できるといった利点から、さまざまな機器への搭載が検討されるようになってきた。
同製品は、間欠動作の採用で従来シリーズ品に比べ消費電力の削減を実現したほか、家電業界の標準的なパッケージであり、表面実装が容易なSOP16を採用することで、プリンタなどのOA機器や電子レンジ、IHクッキングヒータといった家電といった比較的シンプルな操作パネルに最適化が図られている。
また、一般的に静電スイッチには、感度を上げるとノイズに弱くなるという相反関係があるが、独自の高感度容量アナログフロントエンド技術により、ノイズ耐性は静電スイッチにおいて業界最高水準であるIEC61000-4-6準拠の試験をクリア。ノイズの判別機能を高め、高感度と高ノイズ耐性を両立させた。これによりノイズやEMI対策の部品が不要になるため実装負荷の削減とコストダウンが可能となっており、最大15mm厚のオーバーレイでも使用が可能となったほか、スイッチ電極との配線距離も一般製品の約2倍となる1mに対応可能であり、曲面パネルを採用した機器や大型の白物家電など、これまで静電スイッチの搭載が難しかった機器への導入も容易になったという。
電源電圧は3.0V~5.5Vで動作し、I2Cインタフェース、マイコンを内蔵しているほか、マトリックススイッチ拡張機能、長押し機能などを備えている。スイッチ電極は8チャネルに対応している。
なお、サンプル価格は200円。すでにサンプル出荷を開始しており、量産は11月より月産5万個体制で開始する予定。今後は、高感度、高ノイズ耐性、長距離配線対応などの特徴を生かし、産業機器向け製品の開発も進めていく予定としている。