部門や拠点、中小企業にも求められるバックアップ環境の整備

あらゆる業務がIT化された現在、企業にとってデータのバックアップの重要性はますます高まっている。万が一、サーバーなどに障害が発生して大切な業務データが失われてしまったとしたら、事業の継続に支障が出るのはもちろんのこと、取引先や顧客に対する取り返しのつかない信用失墜も招きかねない。もっとも、それなりの規模の企業の基幹系システムであれば、すでにIT部門が万全なバックアップ体制を整えていることだろう。しかし、最近ではこうした基幹系システム以外でも、膨大な数と容量の業務データを扱うようになっている。そうなると、業務部門ごとや拠点ごとに独自にバックアップ環境を整える必要が生じてくる。また、これまでバックアップに敷居の高さを感じていた中小企業でも、業務にITを活用している以上、バックアップを行うのは当然のことだといえる。

一方、そのコストパフォーマンスや柔軟性の高さ、そしてオープンさから、Linuxサーバーの導入が急速な勢いで増加してきている。いまや物理環境にせよ仮想環境にせよ、WindowsとLinuxが混在しているサーバー環境を有する企業は非常に多い。ここで問題となるのが、Linuxサーバーのバックアップだ。Linuxでバックアップ環境をきちんと整えるには、それなりの技術が必要となるからだ。IT部門であればともかく、前述のようなビジネス部門や地方拠点、さらには中小企業が独自にLinuxサーバーのバックアップを行うというのは、かなりハードルが高い。また、もしそれなりに技術のあるスタッフがいて、Linuxの標準機能などを使ってバックアップを行うようにしたとしても、企業が必要とする水準の安全なバックアップはとても不可能だろう。

本格的なイメージバックアップ環境を誰でも導入可能に

CA Technologies データマネジメント事業部 事業部長 江黒 研太郎氏

そこで今年7月にCA Technologiesがリリースしたのが、Linux環境におけるデータ/システム全体のバックアップ/リカバリを行うことができる、データ保護ソフト「CA ARCserve D2D r16.5 for Linux(以下、ARCserve D2D)」だ。同製品は、Linuxサーバーを、データやシステムも含め、丸ごとディスクにバックアップすることが可能となっている。ファイルやフォルダ単位にきめ細かくリストアできるのに加えて、OSやデータを一度に迅速に復旧できる、ベアメタル復旧にも対応しており、Linuxサーバーの可用性と事業継続性を向上させられる。

その最大の特徴のひとつは、ファイル単位ではなく、サーバー全体を完全にバックアップするという本格的なイメージバックアップを、特別な知識がなくても容易に行える点だ。インストールはわずか15分で完了し、設定や管理はすべてWebブラウザから実行できるため、管理側のOSや場所を問わない。インストールは管理サーバー1台だけに行えばよく、バックアップ対象となるサーバーにはインストール作業を必要としない。Webブラウザからの操作だけでサーバーの追加・設定がすべて済んでしまうのだ。そのため、遠隔地のサーバーであっても、直接手を加えることなく容易にバックアップを行えるようにできるのである。また、バックアップ対象のサーバーへの負荷も低減できる。

CA Technologies データマネジメント事業部 事業部長 江黒 研太郎氏は、「当社ではこれまでARCserve D2DのWindows版を提供しており、お客様からも高評価をいただいていました。WindowsとLinuxの混在環境の増加などから、Linux版を要望する声がお客様から数多く寄せられていたこともあって、今回のLinux版をリリースすることになりました」と、ARCserve D2D開発に至った経緯を語る。

ブラウザだけで、バックアップ、リストア、ベアメタル復旧までを簡単に実行

ARCserve D2Dは、ファイル上に更新があると、ファイル全体ではなくディスク上の変更ブロックだけをバックアップするため、バックアップ容量が小さく、ストレージ使用量を心配する必要がない。ファイルを戻すときにも、Webブラウザを通して任意時点の復旧ポイントからファイルやフォルダをリストアすることができるので、専門知識はまったく不要だ。そして、障害や災害時にベアメタル復旧を行う際には、元のサーバーだけでなく異なるサーバーへも復旧することが標準機能のまま可能となっている。復旧先のサーバーは物理サーバーに限らず、仮想サーバーであっても問題ない。ほかのシステムやアプリケーションとも連動している環境を構築しているLinuxユーザにとって、コマンドラインのインタフェースでそれらと連携できるのも強みであろう。

また、ネットワークを介したバックアップにも考慮し、AES256/196/128ビットでのバックアップデータの暗号化にも対応している。

ARCserve D2Dは、バックアップの実行からファイル単位のリストア、ベアメタル復旧まで、すべてをブラウザ上の1つの画面から操作できるので、運用・管理の手間を大幅に低減することができる。増分バックアップやフルバックアップのタイミングをどうするかなど、細かいバックアップの設定やリストア時の操作をより簡単に行うために、ステップごとのアドバイスに従って設定できるウィザードも用意されている。つまり、その後の運用が自動化できるのもARCserve D2Dの特徴だ。

手元のブラウザの管理インタフェースから一元管理が可能
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5つのステップで簡単にバックアップの設定が行える「バックアップ ウィザード」
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さらに、バックアップの知識がまったくない人のために、無償ハンズオントレーニングも提供されている。ここでは"バックアップとは"といった基礎知識から学ぶことができるとともに、自社に合ったバックアップ方法についてトレーナーに相談も行える。

企業でのバックアップに求められているあらゆる機能を標準で装備しているARCserve D2Dだが、その価格は1年間のメンテナンス付きで、バックアップ対象のサーバー当たりわずか100,000円となっている。部門や拠点、中小企業でも手軽に導入できるよう配慮がなされた価格設定だといえるだろう。ほかにも、Windowsとの混在環境でのライセンスや容量単位のライセンスなど、それぞれの企業の使い方に合わせた料金体系が用意されている。

「Linuxは管理が難しく、障害が起きてしまうと復旧が困難になる恐れがあります。また、専用のバックアップツールでなければ、いざというときにきちんと復旧できすに、泣きを見るのは明らかです。ARCserve D2Dによって、"技術を持った管理者のいないところでも、誰でも使えるようなバックアップソフトを"、というニーズに応えることができたのではと自負しています」と江黒氏は言う。

データやシステム保護の重要性は、多くの人たちがわかっているものの、なかなかやりきれていないのが現実だ。とりわけLinuxは管理する人のスキルに依存する側面が強く、誰でも使えて、しかも低価格なバックアップ環境の構築は、これまで不可能といっていい状況だった。ARCserve D2Dの登場により、企業の部門や規模を問わずに、Linuxを安心・安全に利用できる環境が整えられたといえるだろう。