富士キメラ総研は8月26日、法人向けのスマートフォンやタブレットなどのスマートデバイスの販売、保守、アプリケーション、通信、セキュリティ基盤などの関連ソリューション国内市場、ソリューション事業者55社のビジネス動向を調査・分析し、その結果を報告書「2013 法人向けスマートデバイス関連ビジネスの全貌」にまとめ発表した。
同社では、法人向けスマートデバイス関連ソリューション市場は2012年度の3,663億円から、2018年度には1兆1,117億円に拡大すると予測。2012年度までは、スマートデバイスを導入すること自体が目的の場合が多く、利用も通話、メール、スケジュール管理など従来のフィーチャーフォンの延長で利用するユーザーが中心だったが、2013年度からは、具体的な業務利用を目的としたスマートデバイスの導入が拡大しており、特に汎用性や拡張性が高いタブレットと、これを活用したアプリケーション市場が拡大。
アプリケーションでは、情報共有を目的にメールやグループウェアなどをモバイル環境下で閲覧することが主であったが、徐々に顧客へのプレゼンテーションやWeb会議、申請や承認といった簡単な入力作業など、営業効率化や業務効率化のための活用に移り、スマートデバイスが業務プロセスに組み込まれることで活用を前提とした新規システム開発やクラウドサービスの利用も活性化しており、今後は既存システムと新規システムの連携が進むことで、スマートデバイスによるワークスタイルの変革が進むという。
そして、同社が有望市場として挙げたのは、 BYOD(Bring Your Own Device)とタブレットPOS。
BYODについては、スマートデバイスはフィーチャーフォンより導入コストが高いため社員への貸与のハードルが上がっており、導入を敬遠している企業も存在するため、BYODによりスマートデバイスの業務利用を図る動きが見られ、企業が認可していない私物端末での社内システム利用(シャドウIT)への対策としてもBYODが注目されるという。
同社では、BYOD支援ソリューション市場は2018年度には、2012年度の3.9倍にあたる330億円に拡大するとしている。
一方タブレットPOSは、専用POSシステムのように商品管理、販売管理、在庫管理、顧客管理などをスマートデバイスで行えるクラウドサービスを指し、POSシステムと比較し、機器自体の購入コストやアプリケーションコストが安価で済むことが大きなメリットとして挙げられ、これまでコストやスペース確保の関係で専用端末を設置できなかった店舗で導入が進んでいるという。
タブレットPOSは2012年度で2,450店舗に導入され、2018年度には累計3万店への導入が予測されるという。まだ認知度は低いものの潜在需要は高く、特に飲食店や小売店での導入が拡大すると見られ、全国展開するチェーン店や、売場面積が広い家電量販店や百貨店などではメインPOSのサテライトシステムとしてタブレットPOSの採用が進むという。