IBMは8月23日、電力事業における再生可能エネルギー資源の信頼性向上に役立つ電力および気象モデリングの先端技術を発表した。
同ソリューションは、気象予測とアナリティクスを組み合わせることで、風力と太陽光エネルギーの可用性を正確に予測。これにより、ユーティリティー事業者はより多くの再生可能エネルギーを電力グリッドに統合できるようになるため、炭素排出を抑制できるとともに、消費者や企業に対して、より多くのクリーンエネルギーを供給できるようになる。
「HyRef:Hybrid Renewable Energy Forecasting(ハイブリッド再生可能エネルギー予測)」と呼ばれるこのソリューションでは、気象モデリング機能、雲をイメージ化する先進技術、および上空に向けて設置したカメラを使用して、雲の動きを追跡。一方、風力タービンに取り付けられたセンサーが、風速、風温、風向をモニタリングする。データ同化を基盤とするこのソリューションは、アナリティクス技術と統合されると風力発電所内の局地的な天気を正確に予測でき、1カ月後の天気や、15分刻みの天気を予測。局地的な気象予測を活用することで各風力タービンのパフォーマンスを予測し、再生可能エネルギーの発電量を推定できる。
こうした能力により、ユーティリティー事業者は変化しやすい性質を持つ風力や太陽光についてより適切に管理できるとともに、電力グリッドへの逆潮流や蓄電する電力量をより正確に予測できるようになる。また、石炭や天然ガスなど、他の従来型エネルギーとも容易に統合することが可能。
気象モデリング技術の進歩を象徴する存在と言えるHyRefは、IBMが開発したDeep Thunder(US)などの画期的なイノベーションから派生。これにより、都市部から州全域に至るまで、地域の天気の高精度でミクロな予測が可能となるが、この計算値は1平方キロ単位の精密度で、ビジネスデータと組み合わせることにより、企業や政府機関はサービスのカスタマイズ、ルートの変更、設備の導入の実現につながり、結果的に、コストの削減やサービスの向上、さらには人々の安全の確保など、天気事象が及ぼす影響を最小限に抑える。