ALMAプロジェクトは8月21日、アルマ望遠鏡を用いた観測にて、生まれたばかりの星からガスが激しく噴き出す様子を観察することに成功したと発表した。

生まれたばかりの星は、時速100万kmにも達する速度でガスを放出することもある活動的な天体で、そうして噴出したガス(分子流)と周辺にあるガスが衝突すると、明るく輝く「ハービッグ・ハロー天体」を形成することが知られている。そうしたハービッグ・ハロー天体の中でも、特徴的な姿を見せるのがほ座の方向1400光年の距離に位置する「HH46/47」と呼ばれる天体だ。

今回観測された画像では、地球側に向かって噴き出すガスと反対方向に噴き出すガスが写っており、しかもその反対方向に飛び出すガスは従来観測ではほとんど見えていなかったが、アルマ望遠鏡の観測でははっきりと写し出せており、そのガスの移動速度の精密測定も可能となり、その結果、従来の観測結果よりも速い速度でガスが移動していることが判明したという。

また、同観測では、これまで想定されていなかったHH46/47と直交する分子流の発見にも成功しており、研究グループでは、この分子流について、HH46/47の巨大な分子流を作り出した赤ちゃん星と連星を成す、より質量の小さい赤ちゃん星から噴き出していると考えられると説明する。

ちなみに今回の観測は、まだ建設中の段階で行われたものだが、従来の望遠鏡で同様の観測を行うのに必要な時間の1/10以下となる5時間で完了したという。

アルマ望遠鏡と欧州南天天文台の新技術望遠鏡(可視光)で観測したHH46/47を合成した画像。中央下寄りの暗黒星雲内部に原始星があり、そこから右下に噴き出す分子流をアルマ望遠鏡を用いて撮影することに成功した(画像ではオレンジと緑に着色されている部分)。この部分は地球から反対方向に伸びており、暗黒星雲の向こう側に広がっているために可視光では見えない。一方、原始星から左上にのびるジェットは暗黒星雲より手前にあるため、可視光で見ることが可能(画像ではピンクと紫に着色されている部分) (C)ESO/ALMA (ESO/NAOJ/NRAO)/H. Arce. Acknowledgements: Bo Reipurth