ヤマトホールディングスは8月13日、神奈川県愛甲郡で今月11日より稼働を開始した関東の新物流拠点「厚木ゲートウェイ」を報道陣に公開した。
厚木ゲートウェイは、同社にとって第3のイノベーションと位置付けている「バリュー・ネットワーキング」構想の一端を担う多機能スーパーハブ。ちなみに、同社にとって第1のイノベーションは東京~横浜間で1929年に開始した定期積み合わせ輸送の「路線事業」。第2のイノベーションは、1976年に開始した小口貨物の特急宅配システム「宅急便」だという。
多機能スーパーハブは、厚木ゲートウェイのほかに、9月下旬より稼働開始となる「羽田クロノゲート」と、既に稼働を開始している「沖縄国際物流ハブ」、そして2016年までに稼働開始となる中部、関西ゲートウェイの5拠点が展開される予定。
ヤマトは、「バリュー・ネットワーキング」構想において、ヤマトの物流ネットワークを革新することで、物流を「バリューを生み出す手段」へ進化させるという目標を掲げている。これは、同社の宅配便取扱個数の拡大という目標だけではなく、一次、二次産業のコスト削減や国際競争力の向上に貢献し、日本経済の成長を手助けしたいという思いも込められているという。
物流ネットワークの革新は、大きく2点にまとめられる。
1点目は国内における物流革新。これまでの3大都市圏間の幹線輸送は、集荷した荷物を夕方まで各都市圏でプールしておき、1日に1回の輸送でまとめて荷物の搬送を行っていた。しかし、厚木、中部、関西という3つのゲートウェイが完成した場合、それぞれの拠点へ常に荷物を集約。ゲートウェイ間を日中の時間帯から高い頻度で幹線輸送を行うことで、三大都市圏間の当日配達を実現するという。
現時点では関西、中部ゲートウェイが未着工となっているが、厚木ゲートウェイの稼働によって三大都市圏間の当日配達トライアルを準備しているという。年明けかそれよりも早い段階でトライアルを開始するとしており、残る2つのゲートウェイについても計画の前倒しを示唆していた。
一方、2点目の革新は海外への配送だ。9月より稼働を開始する「羽田クロノゲート」は、陸海空の要所が近隣にあることから、ヤマトでは海外と国内の"結節点"として最適な立地としている拠点。立地に加えて、厚木ゲートウェイなどにも導入されている最新鋭の設備機器を導入することで、24時間稼働し続けることが可能になっている。
ヤマトは、この「羽田クロノゲート」から沖縄の「沖縄国際物流ハブ」を介してアジア各国への生鮮食品翌日配送が可能になるとしており、第一次産業への貢献、ひいてはアベノミクス農業再生プランの支援に繋がると強調している。
厚木ゲートウェイ施設
この後は、ヤマトホールディングス「厚木ゲーウェイ」施設内部の様子である。言葉で説明するよりも、写真を見ていただいた方が分かりやすいので、是非一つ一つ拡大してご覧いただきたい。
物流によって付加価値を与えるヤマト |
ここからは施設内部。ここは着車バースと呼ばれ、各ベースから荷物が配送される |
これはBOX前詰め装置。これまで手作業で行われた荷物の搬送をこの台車に詰めることで、品質管理が容易になるほか、作業効率も上がる |
ここはスパイラルコンベアで8階まで繋がっている |
最上部までは見通すことができなかったが、このスパイラルコンベアによって上下移動に人が手を触れることなく荷物の移動が可能となる |
そのため、荷物破損の可能性が低くなるという |
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