IDC Japanは19日、2012年における国内仮想化ソフトウェア市場規模実績と2017年までの市場規模予測を発表した。バーチャルマシン/クラウドシステムは2011年比28.6%増、バーチャルクライアントは2011年比17.2%増と、世界の主要な地域の中で最も高い成長率を示した。
2012年の国内バーチャルマシン/クラウドシステムソフトウェア市場規模は前年比28.6%増の360億9,000万円となり、2012年~2017年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は14.9%と予測している。2012年の国内バーチャルクライアントコンピューティング市場規模は前年比17.2%増の170億3,500万円、2012年~2017年のCAGRは10.4%と予測している。
ハイパーバイザーを含む国内バーチャルマシン/クラウドシステムソフトウェア市場は、大手企業におけるプライベートクラウドの構築をはじめとする仮想基盤の拡大、中堅中小企業へのサーバ仮想化の浸透、デスクトップ仮想化の拡大によって、2012年も非常に高い成長を達成した。
世界の主要6地域(北米、中南米、西ヨーロッパ、中東欧・中東・アフリカ、日本、日本を除くアジア太平洋)の中で、日本が最も高い成長率となっている。IDCでは、2017年には市場規模が721億円に達すると予測している。多くの企業で仮想基盤が標準になっていき、2013年以降も高い成長が継続すると見ている。
クライアント仮想化ソフトウェアである国内バーチャルクライアントコンピューティング市場において、プレゼンテーション仮想化を実現するバーチャルユーザーセッション市場が約70%を占めており、2012年は前年比12.8%増と好調だった。
一方、急速に導入が拡大しているデスクトップ仮想化を実現するデスクトップバーチャライゼーション市場は対前年比39.4%増となり、20%強の構成比を占めるまでに拡大した。デスクトップバーチャライゼーション市場におけるシトリックス・システムズとヴイエムウェアのシェア争いが熾烈となっている。
デスクトップバーチャライゼーション市場の2012年~2017年のCAGRは22.0%、2017年には98億円に達しバーチャルクライアントコンピューティング市場の約35%を占めるまで拡大するとIDCでは予測している。
IDC Japan ソフトウェア&セキュリティ シニアマーケットアナリストの入谷光浩氏は「日本の仮想化ソフトウェア市場の成長スピードは世界の中で最も早い国・地域の1つである。ただ、単なるサーバ統合で終わってしまうユーザー企業も多く、成長スピードが減速してしまう懸念もある。更なる市場成長を促すためには、サーバだけではなくクライアント、ストレージ、ネットワークを統合的に仮想化し、ITインフラストラクチャ全体をソフトウェアでコントロールすることで仮想化の効果を最大限に引き出すSDN(Software-Defined Infrastructure)の採用が重要となる」と述べている。