パナソニックは8月8日、-40℃の環境においても充放電が可能なニカド電池「カドニカ GTシリーズ」を開発したことを発表した。
世界では-20℃以下の気温を記録する地域が多数あるが、従来の2次電池(鉛電池、リチウムイオン電池、ニカド電池、ニッケル水素電池など)では、電池内部の活物質の化学反応は温度が低くなるほど不活発となり、電池性能が落ちることが知られている。また、ニカド電池など水溶液系の電解液を使った電池の場合、-20℃以下の低温環境では電解液が凍結し、電池が機能しなくなるという課題もあり、電池性能を維持するためのヒーターなどと組み合わせる必要があった。
今回同社は、新たに「高性能負極板」を開発。活物質を微細化することで反応性を改善し、低温特性を約50%向上させることに成功したほか、電解液の濃度を最適化することで、-40℃まで電解液が対応可能な「電解液マネジメント技術」も併せて開発し、これらを組み合わせることで、低温環境下でも充放電可能なニカド電池を実現したという。
また、併せてニカド電池の場合、低温で過充電されると正極活物質が膨張し寿命が短くなるという課題もあったことから、独自の焼結技術を用いることで、強度に優れた正極板構造を実現。活物質の膨張を抑制することで、低温下での長寿命化も実現したという。
さらに、従来から同社のニカド電池で採用していた高温環境対応技術も採用することで、60℃の高温環境での充放電も可能としており、-40℃~+60℃までの幅広い範囲での利用が可能だ。
なお、同シリーズは容量1500mAh、2500mAh、4000mAh(各サイズはSCサイズ、Cサイズ、Dサイズ)が2013年8月よりサンプル出荷を開始し、2014年度から量産を開始する計画となっているほか、Fタイプ品についても順次発売を開始する予定としている。