レディ・ガガやファーギーなどの世界的なアーティストの衣装デザインを手がけてきたファッションデザイナー 中里唯馬氏が、日本人初となるストラタシスの3Dプリンタを活用してデザインした衣装を公開した。

衣装のテーマは「バスケットボールが進化した架空のスポーツのためのウェア」。「地下の荒涼としたスタジアムで若者たちがバイクに跨り、バスケットに似た架空のスポーツでボールを奪い合うプレイヤーの姿」をイメージしているという。今回、そのプレイヤーたちが着るユニフォームの上に着用する"筋肉や体内等の複雑な造形のイメージと数字を組み合わせたビブス"の部分に3Dプリンタを活用したとのこと。用いたのはストラタシスの3Dプリンタ「Connex500」。材質には透明で柔らかく柔軟性のあるストラタシスの樹脂マテリアル「Tangoシリーズ」を利用した。

「常に新しいものに挑戦していきたい」と話す中里氏は、3Dプリンタを用いた衣装制作を振りかえり、「これまでは、なんらかの制約で自分の想像している造形を100%作り出すことは困難だったのですが、今回はそれに近い形で生み出すことができたんです」と感想を。また、"有機的な質感を出すことができたこと"と、"立体物のなかにもうひとつ立体物が入っているような造形が可能である"という2点を大きなメリットとして挙げた。

ストラタシス・ジャパン、マーケティングマネージャ 吉澤文氏は「弊社の理念は、デザイナーのイメージしたものを、現実にするためのお手伝いをすること。そういったところで新進のデザイナーも含め、ものづくりに携わっている方々に(ストラタシスの3Dプリンタを)お役に立てていただきたい」とコメント。今回用いたConnex500については「樹脂と樹脂を混ぜ合わせることで、造形中に新しい樹脂を作りあげることができる、他社の3Dプリンタにはない製品。価格は1台あたり2000万円~3000万円程度です」と説明した。

ほか、3Dプリンタで出力するためのモデルの設計と加工を担当したSun Junjie氏は、「ビブスはどれも複雑で独自の形状をしていますが、2、3回の試作をふくめ、5点をわずか4カ月で完成させることができたのは、3Dプリンタのおかげです。Connex500は16μ単位の微細な加工が可能なので、仕上がりもなめらかです」と3Dプリンタを利用したメリットを語り、「テクノロジの進歩はクリエイターを現実の制約から解放し、これからのアートやファッションの世界を一変させてしまうかもしれません」と技術革新がアートやファッション業界にも大きな意味をもつと力説した。