IDC Japanは7月29日、国内の製品別IT市場について、2013年第1四半期(1~3月)の実績と最新の景気動向などに基づいた2013年~2017年の予測を発表した。2013年の市場規模は13兆7,525億円、前年比成長率はマイナス0.9%と予測している。

国内製品別IT市場実績と予測(2012年~2017年) 出典:IDC Japan

このほか、国内IT市場を構成する国内ハードウェア市場、国内ITサービス市場、国内パッケージソフトウェア市場の2013年の市場規模と前年比成長率は、それぞれ6兆2,242億円・マイナス5.0%、5兆309億円・1.9%、2兆4,974億円・4.3%と予測。国内通信サービス市場を加えた国内ICT市場の2013年の市場規模は25兆1,680億円、前年度成長率はマイナス0.1%と予測している。

2013年の国内IT市場がマイナス成長となる背景には、2012年の比較的高い成長率からの反動、2012年のIT市場成長をけん引していたスマートフォンブームの一巡と成長鈍化、通信事業者によるLTEサービス向け投資が2012年に前倒しされたことの影響、家庭向けPC市場の落ち込みをはじめとするハードウェア市場のマイナス成長などがあげられる。昨今のアベノミクスによる金融緩和政策は、企業のIT投資にはプラス要因となるものの、一般消費者市場に波及効果として顕在化するには時間を要するとしている。

今後について、国内IT市場の2012~2017年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は0.1%、国内ICT市場のCAGRはマイナス0.5%と予測。2017年の国内IT市場規模は13兆9,173億円、国内ICT市場規模は24兆6,221億円と予測している。

2013年の国内ICT市場は、クラウド化の進展と2012年に拡大した大規模なスマートモバイルデバイス市場の定着が最大の特徴という。予測期間中の国内ICT市場全体の成長率は緩やかだが、市場構造などの側面において、成長けん引の主役交代や新たなビジネスの誕生などの質的変化がもたらされると予測している。

IDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャーの廣瀬弥生氏は「ITベンダーは、今後のクラウド化の進展やスマートモバイルデバイス関連市場の拡大がもたらすICT市場の変化に対応し、新たな事業戦略を早急に検討すべきである」と分析している。