Facebookのなかでは、企業がいかに友達との会話のなかに入っていけるかが重要です。今回はクチコミリーチが広がったFacebookページの投稿をヒントに、話題になる要素について考えます。

こんにちは、SMMLabゲストライターの柴です。

Facebook上で自社のことをクチコミで拡げたい!とあれこれ考えても、なかなか思うようにならないものです。そこで今回は、実際にファンと一緒に盛り上がりリーチを拡げたFacebook投稿をヒントに、話題になる要素は何なのかを考えていきたいと思います。

事例として取り上げるのはケンタッキーフライドチキン(KFC_JAPAN)のFacebookページです。

好反応だった『ドラゴンボールZ』キャンペーン

ケンタッキーフライドチキン(以下KFC)では、映画「ドラゴンボールZ 神と神」とのタイアップキャンペーン「『ドラゴンボールZ』キャンペーン」を今年の2月末から3月にかけて実施しました。

映画とのコラボグッズ「光る!ドラゴンボトル」がついたセットやパックの発売を中心に、様々なタイアッププロモーションを行っていたのです。

Facebook上では「ドラゴンボールZ最強セリフ診断」というアプリを公開。Facebookページでもアプリやキャンペーン商品の紹介や、タイアッププロモーションの告知などを行っていました。

そして、この『ドラゴンボールZ』キャンペーン関連の投稿は通常の投稿より、毎回ファンから好反応を得ていたのです。

これらのドラゴンボール関連投稿の反応は平均「いいね!」3,686件、コメント90件、シェア104件あり、同期間のその他の投稿の平均「いいね!」2,004件、コメント36件、シェア33件を大きく上回る結果でした。 ※ドラゴンボール関連の投稿が始まった2013年2月2日から、ドラゴンボール関連最後の投稿のあった4月3日まで。Facebookデータはインサイトより。

もちろんこの反応率の高さは、ドラゴンボール自体が幅広い層から大きな支持を得ているということが影響しています。 しかし、特に「いいね!」やコメント、シェアの数が多かった投稿を見ていくと、理由はそれだけではないことがわかるのです。

悟空カーネル投稿の波及効果

ではここで、特にファンからの反響が大きかった(「いいね!」コメント、シェアの合計数が多かった)投稿をご紹介していきます。

この悟空カーネルを、ネットなどで目にした方も多いのではないでしょうか。 KFCは『ドラゴンボールZ』キャンペーンのタイアッププロモーションとして 全国主要都市のKFC7店舗に、孫悟空の道着を着せた「悟空カーネル」を設置していたのです。

そして、注目したいのはこちらの投稿です。

あるユーザーが自発的に全国のファンに呼びかけ、7体すべての「悟空カーネル」の写真を集めて、KFCのFacebookページに投稿したのです。

KFCがそのユーザーに、ぜひこの写真をKFCのFacebookページで紹介させてほしいと依頼し、実現したものなのです。

この投稿は、KFCのFacebookページの歴史の中で、クチコミ度が過去TOP3に入る反応だったようです。では、その波及効果を他の投稿と比較してみましょう。

比較するのは「悟空カーネル」投稿の前日、ほぼ同じ時間帯にポストしたこちらのKrushersの投稿です。

これら2つの投稿では、「いいね!」、コメント、シェアのすべてで「悟空カーネル」のものの方が多いのですが、特にシェアの差が約3.5倍と大きいです。以下の表グラフで詳しく見ていきましょう。

▲悟空カーネル投稿とKrushers投稿の実績比較

シェア数の差が大きく影響しているのか、クチコミリーチに3倍ちかくの差が出ていることがわかります。

また、オーガニックリーチも1万件以上差が出ていますね。これは(その日の状況や、ファン数などの影響もあるかもしれませんが)多くの人から反応を得た結果、ニュースフィードに表示されやすくなったぶん、オーガニックリーチも増加したと考えられます。

結果的に合計リーチは「悟空カーネル」投稿が112,827件、Krushers投稿が81,342件と約1.4倍の差が出ているのです。

このようにKFCでは単なるタイアップキャンペーンだけではなく、本当のファンと一緒に盛り上がれるような仕掛けをしたことでリーチを拡大させていたのです。それがFacebook上の数値にも大きく反映されていることがわかります。

話題作りのポイントは物語性、ゲーム性、リアル連動

今回、なぜこれだけ話題になったのでしょう。

ドラゴンボール自体の人気や発想のユニークさというのももちろんですが、このタイアッププロモーションの投稿については、物語性、ゲーム性、リアル連動の3点が大きな要因だったのではと考えます。

物語性は人に話したくなるようなストーリーがあるか、ということです。 今回の場合は、世界中に散らばった7つ全てを集めると願いが1つ叶えられるというドラゴンボール自体のストーリーがそのまま移植されるかたちになります。

次に、ゲーム性。思わず夢中になったり、なんとしてでも達成したいという気持ちを掻き立てますね。 ファンが「コンプリートしたい」と思ったことが、まさにこの投稿のきっかけになる気持ちです。

最後に、それがリアル連動であるということです。(場所にもよりますが)実際に見に行ける、というところに身近さを感じ、「見に行ってみたい」という気持ちを呼び起こします。

結果的に、このタイアッププロモーションはネット上、そしてリアルでも大きな話題となっていました。 Facebook上では、KFCFacebookページの投稿以外にもたくさんの人の間で拡散されているのを、目にした方も多いのではないかと思います。

Facebook上で話題を提供することの重要性

みなさんは何をするためにFacebookを訪れていますか? 友達の近況を知ったり、連絡をとったりなど、友達との時間を過ごすためにFacebookを使っている人が大半なのではないかと思います。

だからこそ企業は、その友達同士の会話のなかで盛り上がるような話題を提供していくことが必要なのです。

KFCのFacebookページから、もう一つ興味深い投稿をご紹介しましょう。 『ドラゴンボールZ』キャンペーンの後に行った、GW“武者カーネル”コンテストです。

GW期間には、こどもの日にちなんで店舗ごとにオリジナルの鎧兜をつくり、立像に着せて“武者カーネル”に変身させます。

全国のKFCのお店の“武者カーネル”を投稿で紹介し、ファンに一番好き!と思う“武者カーネル”を選んでもらうというもの。

こどもの日という季節的に話題に挙がりやすいテーマと、コンテストに投票するという参加感、そしてリアル連動で楽しめる身近さがポイントですね。

「いいね!」やコメント、シェアの数では「悟空カーネル」に劣りますが、該当エリアのファンのなかでは盛り上がれるのではないでしょうか。

誰もがドラゴンボールのような大きなキャンペーンが行えるわけではないですが、こういった手作りの仕掛けならいろいろアイデアが出そうですよね。

話題になる要素を意識しながら、あなたもファンと一緒に盛り上がっていけるようなネタを考えてみてはいかがですか?

<ライター紹介>

柴 佳織 (Kaori Shiba):
企業のFacebookページのコンサルティングから、解析・運用支援などを行う。また、Facebookマーケティングのライターや講師も務めている。