ソニーは7月23日、医療用の映像ソリューションとして、内視鏡からの映像を表示する「ヘッドマウントイメージプロセッサユニット」と32型3D対応液晶モニター「LMD-3251MT」を発表した。両製品ともに発売日は8月1日となっている。

「ヘッドマウントイメージプロセッサユニット」は、内視鏡の映像信号の入出力や映像制御を行う機器。その映像を、頭部に装着する「ヘッドマウントモニター」のディスプレイで見ることができる。ヘッドマウントモニターは、単品のオプション販売も行われるが、プロセッサユニットへの接続は2台までとなっている。

ソニーは、同製品を医療用として導入した背景を「内視鏡手術の普及にともない、奥行き感まで認識できる3D映像は医療現場のニーズがある。ヘッドマウントイメージプロセッサユニットとヘッドマウントモニターは、高精度の3D映像が出力可能で、新しいワークフローの提案ができる」としている。

ヘッドマウントイメージプロセッサユニット

ヘッドマウントモニター

ヘッドマウントモニターは、0.7型のHD有機ELパネル(1280×720)を2枚搭載し、高精細、高コントラスト、色再現性、高速応答性能を実現しているという。クロストークの起こらない「デュアルパネル3D方式」により、対象物の奥行きなど繊細な情報を確認できるため、3D内視鏡手術に貢献できるとしている。

また、最新の3D内視鏡だけではなく、2D内視鏡の映像にも対応。使用する内視鏡に合わせて2D、3D信号に合わせてイメージプロセッサユニットのインプットボタンを選択することで映像表示の切り替えが可能だという。

ほかに、医療現場に適した機能としては、「ピクチャーインピクチャー」が搭載される。内視鏡からの映像をメインに表示させながら、もう1つの映像をワイプで表示できるという。ソニーでは利用シーンとして、サブ映像に超音波内視鏡映像などの表示を想定している。

ピクチャーインピクチャー機能

利用状況に合わせた映像出力機能としては、「左右反転・180度回転モード」も搭載される。内視鏡カメラの向きに関わらず、手術中の立ち位置からの視点で見やすい方向に映像表示が可能。内視鏡手術の際には、向かい合った術者と助手が映像を同じ方向で見ることもできるという。

ヘッドマウントイメージプロセッサユニットの大きさは、幅306mm×高さ56.5mm×奥行き358mmで、重量が約3.3kg。ヘッドマウントモニターの大きさは、幅191mm×高さ173mm×奥行き271mmで、重量が約490g(接続ケーブル含まず)となる。

市場推定価格は、HMS-3000MT(ヘッドマウントイメージプロセッサユニット、ヘッドマウントモニター、ケーブル各一式)が150万円前後(税別)、HMM-3000MT(オプションのヘッドマウントモニター)が100万円(税別)となっている。

医療用 32型3D対応液晶モニター 「LMD-3251MT」

ヘッドマウントモニターだけではなく、大型の医療用3D対応液晶モニターも同時に発表された。「LMD-3251MT」は、LEDバックライトを採用した高輝度・高画質な映像表現が可能な32型3D対応液晶モニター。

省電力設計を行い、ソニーの従来機種(医療用24型3D対応液晶モニター)と比較して最大約25%の消費電力低減がはかれたという。映像品質に関する取り組みでは、アナログ信号を入力直後にデジタル変換する。10ビットのフルデジタル回路で信号処理を行うため、デジタル信号の入力映像と合わせて、なめらかな階調表現で劣化の少ない映像を表示できるとしている。

LMD-3251MT

長時間使用していても疲れにくい軽量の3Dメガネ(円偏光)が付属しており、クリップオン型のものも提供される。ディスプレイの解像度は1920×1080のフルHD。

大きさは、幅783mm×高さ479.2mm×奥行き124.3mm。重量は、モニター本体だけで約13.3kg、ACアダプターが約1.2kgとなる。また、IEC 60601-1やアメリカ、カナダ、ヨーロッパの医療用安全規格を取得している。市場推定価格は、約130万円(税別)。