IDC Japanは22日、「2013年国内ストレージ管理者プロファイル分析:管理者のマインドセットと運用組織体制の変化の方向性」を発表した。「ストレージの専任運用技術者は少なく、他のインフラの運用と兼務している技術者が多い」ということが定量的に確認できたという。
同調査は、国内ユーザー企業で行われているストレージの管理運用プロセスと人員体制、および運用技術者のマインドセットを、Webアンケートとデプスインタビューを用いて調査したものである。
国内のストレージ管理体制について、米国企業との違いとして言われることが多い「国内企業ではストレージの専任運用技術者は少なく、他のインフラとの兼任が多い」という定評については、企業規模別に定量的な割合が確認できたという。さらに、今後ストレージプール構築などによりインフラが水平統合された場合でも、専任運用技術者が増えると考えている企業はほとんどないことも判明した。多くのユーザーは、ストレージ運用を専門知識がそれほど高くない技術者に分散することで運用負荷の増大に備えようとしているという。
この兼業の体制、つまりストレージ以外にもサーバ、ネットワーク、場合によってはミドルウエアやアプリケーションを同時に運用管理している状況は、ストレージの新テクノロジー導入に対する積極性に影響をもたらしている。個々の運用技術者は、それぞれ責任範疇の中で優先順位を考慮しながら運用の改革にあたっているため、必ずしもストレージ運用の最適化に対して関心が高いとは言えず、ストレージ仮想化、シンプロビジョニング、重複排除などの新テクノロジーの導入効果を把握しているとは言えない状況とのことだ。
このような新しいテクノロジーの導入が活発でない状況を変えるため、有効とみられる要素として浮かび上がってきたのは「効果を可視化するツール(ソフトウェア)」だ。
「可視化ツールによって成果が明らかになるのであればテクノロジー導入への取り組みが変わる」という回答が4割を超えており、成果確認が可能であることをユーザーに理解してもらうことが、導入意欲の向上に寄与することがわかった。
IDC Japan ストレージシステムズ リサーチマネージャーの鈴木康介氏は、「ユーザー企業におけるストレージの管理運用は、高度な専門技術をもつスペシャリストによるものと、ストレージ以外の多くのIT運用を兼任する技術者が行うものの2通りがある。大企業は前者を組織内に配置することを志向しており、中堅、中小企業は後者を選ぶ傾向が強い。製品を提供するベンダーは、自社のターゲット顧客層にどちらのタイプが多いかを把握し、適切なストレージ管理ツールを開発・提供していく必要がある」と分析している。