東京都写真美術館、読売新聞社、美術館連絡協議会は、日本を代表する写真家・米田知子の個展「暗なきところで逢えれば」を開催している。開催期間は9月23日まで(月曜は休館、ただし月曜が祝日の場合は開館し、翌火曜休館)、開場時間は10:00~18:00(木曜と金曜は20:00まで)。会場は東京都写真美術館 2階展示室。入場料は一般700円、学生600円、中高生・65歳以上500円。

「サハリン島」より 北緯50度、旧国境 2012年 Courtesy of ShugoArts

この展覧会は、自然災害や歴史的事件が起こった場所を訪れ、「記録」という写真の根本的な役割をベースにしながら、現実には見えないそこにある記憶や歴史を浮かび上がらせる作品で知られる写真家・米田知子の個展。初公開となる新作「サハリン島」や映像作品「暗なきところで逢えれば」、そして近年の代表作より、日本やアジアの近代化における記憶や歴史をテーマにした作品など68点を展示する。

「Kimusa」より Kimusa26 2009年 Courtesy of ShugoArts

「パラレル・ライフ」より ゾルゲを中心とする国際諜報団密会場所 東京宝塚劇場(クラウゼン ヴトケウィッチ) 2008年 Courtesy of ShugoArts

また、初期作品の多くはヨーロッパを題材にしていたが、近年はアジアを捉えたもの、特に日本の近代化にかかわる地域をモチーフにした作品が増えており、ソウルにある元韓国国軍機務司令部の内部を撮影したシリーズ「Kimusa」、青い空や海、木々や野原など無形なものに存在する歴史を捉えた「Scene」、1930年代の日本を中心に極東で活動したスパイグループの密会場所を古いカメラを使って写しだした「パラレル・ライフ」などを発表している。

そのほか、米田が出演するトークイベントが開催される。会期中2回開催されるもので、7月20日には森美術館チーフ・キュレーターの片岡真実を、7月27日には小説家の半藤一利をゲストに迎える。いずれも開催時間は15:00~16:30。

なお、米田知子は1965年兵庫県生まれの写真家。1989年にイリノイ大学シカゴ校芸術学部写真学科卒業、1991年にロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程を修了し、現在もロンドンを拠点に活動している。8月10日から開幕する「あいちトリエンナーレ2013」にも参加する。