ルネサス エレクトロニクスと、同社100%子会社であるルネサスソリューションズは7月19日、マルツエレックと共同で、小学校高学年から中学生を対象に、ルネサス製マイコン「R8C/34C」を用いた計測・制御プログラムの基礎を手軽に学習できるマイコンカー入門機「マイコンレーサー(MMCR-FS)」を開発したことを発表した。

2013年度から中学校の技術家庭科にてプログラミングを学ぶ「計測と制御」が必修化されたが、同製品は、そうしたプログラミングの初歩を学ぶ人に向けて開発されたライントレースを行う自動制御ロボット。プログラミングができなくてもプログラムができるグラフィックイメージプログラミング言語「ブロックコマンダー」とはんだ付け不要の組み立てにより、3時間の授業(45分授業×3)で、搭載されている赤外線センサを用いて路面の幅20mm程度のラインを読み取って走行したり、クランク、車線変更などを体験することが可能になるという。

今回発表されたマイコンレーサーの位置づけ。はんだ付けなどが不要で、簡単にプログラミングの勉強ができるという点も含め、小学校高学年や中学生での電子工作入門などをターゲットにしている

キットの構成はR8Cマイコンのほか、電子回路実装済みの本体シャーシ基板、モータ固定や単3電池を入れるプラスチックパーツ、130型DCモータとタイヤが2個、センサブロックとしてフォトインタラプタが4個、操作ブロックとしてスタート用タクトスイッチが1個付属しており、そうした実部品に加え、プラスドライバー、ブロックコマンダーや取扱説明書を入れたCD-ROM、ボディを構成する用紙などが付属している(単3電池やPCと接続するUSBケーブルは別売り)。

学校での学習教材としての活用も視野に入れたコスト、設計思想、一般的に売られているビニールテープ(19mm幅)を使ったコース作りといった手軽さなども盛り込まれている

部品構成もなるべくシンプルにしているため、はんだごてを使わずに組み立てることが可能となっている

今回のルネサスとマルツエレックの取り組みについて、会見に同席した、小学生の父親を中心としたPTA活動またはそれに準じた活動のための地域組織「おやじの会」の支援をしているNPO法人「おやじ日本」の副理事長で、東京・杉並区の教育長なども務めた経験を持つ納富義朗氏は、「マイコンレーサーを用いることで、今、目の前にある技術が将来的にどうなっていくのか、といったことに気付くことができ、それがやがてICT全体への関心にもつながるだろうし、100人のうち、3人でも5人でも、ものづくりに興味を持ってくれる人が増えてくれれば、それが将来の日本のものづくり産業の発展につながっていくことが期待できる」と、未来の可能性を持つ子供たちに、ものづくりに携わるきっかけを提供できることを強調した。

機能ブロックを組み合わせることで、手軽に欲しい動きなどを実現することが可能なブロック・コマンダー。マイコンレーサーの上位機である身にマイコンカーでも用いられており、基本的な考え方などはそちらに発展させることも可能なので、興味を持った子供が、より高度なことに挑戦したいと思った時に、低いハードルで移行することが可能になるという(マイコンに最新世代のRL78などではなく従来のR8Cを使った理由も上位機との互換を考えてのことだという)

なお、発売はマルツエレックより2013年7月31日から開始する予定で、国内希望小売価格は2980円となっており、教材メーカーなどとも連携を図り、教材としての活用などを図っていきたいとしている。

マイコンレーサーのキット一式。ボディ用の組み立て用紙も((自分でデザインが可能なように、枠線のみのものもセットで提供)される。ちなみに写真の白が基調としたボディデザインは試作段階のもので、キットに付属する正式デザインは赤いものの方となる