あなたにライバルはいるだろうか? ビジネスの世界に競合はつきものだが、健全な競合関係は企業やチームの業績を最大限に引き出すのに役立つ。だが、執着関係に陥ると危険といった注意点もある。Open Forumの記事「ライバルの存在が企業にとって良い訳は?(原題 : Why Rivalry Is Good For Your Business)」で、詳しく説明している。
競合企業の存在は、業績に好影響をもたらす。個人レベルなら、MicrosoftのBill Gates氏とAppleのSteve Jobs氏がそういった関係と言えたかもしれない。ニューヨーク大学の経営大学院スターンスクールの調査によると、陸上競技者は力のレベルが同程度のライバルがいるとパフォーマンスが改善し、ライバルがいない場合と比べて平均して1kmあたり5秒タイムが短くなるという。
相手が発するネガティブなフィードバックであっても、それをはね返そうとする努力がパフォーマンス改善と言う点で背中を押してくれるという。2つのチームを競合させた英国の調査では、やる気をなくすようなネガティブなフィードバックをライバルが発したところ、そのチームは"そうではないことを示そう"と、モチベーションがさらに高まることがわかったとのことだ。
このように健全な競合関係が良い影響を生む一方で、注意しなければならない状況がある。競合が常に自分たちを上回るようになると、最初は競争心だったものが落胆や失望になってしまう可能性があるのだ。
ニュージーランドのマッセー大学の研究によると、ビートルズのPaul MacCartneyとJohn Lennonのライバル関係が大ヒット曲連発に大きく寄与したそうだ。一方で、同時期に活躍していたザ・ビーチ・ボーイズは、ビートルズの成功に対して落胆を感じていたという。ザ・ビーチ・ボーイズのBrian Wilson自身がそう明かしているそうだ。落胆によりモチベーションが低くなる、つまり競合の存在が結果的に、ネガティブな影響を与えていることになる。チームではなく個人で競争している場合は、もっと危険だという。
そういったことから、競合相手が自分よりも優れている場合は、友達や同僚など自分の味方を近くに持ち、大きな目標を見失わないことが大切だとアドバイスしている。その場合は自分の成果にフォーカスし、個人的なライバル感情を混ぜ込むべきではない。このように、ライバル関係によりお互いを高め合うことができるが、執着や健全ではない状態に陥るようなら、競合はせず自分の計画と目標に集中するべき、といえるだろう。