東京大学大学院情報学環、NTT、KDDI研究所、日立製作所、NEC、富士通は、米国ユタ大学の協力を得て、広域仮想網「日米ネットワーク仮想化テストベッド」を用い、世界で初めて、日米間にまたがるマルチドメイン環境でプログラマブルに制御できる新たな仮想網の構築に成功した。
今回の日米のネットワーク仮想化テストベッドの相互接続の成果により、従来のインターネットでは実現することのできなかった新しいネットワークサービスに関する国際実証実験が可能となり、世界レベルの新世代ネットワーク技術の実用化に向けた研究開発がさらに進むことが期待される。
次世代ネットワークとして、ソフトウェアによってプログラマブルに仮想的なネットワークを実現する「SDN(Software-Defined Networking)」や「NFV(Network Functions Virtualization)」に大きな期待が寄せられている。そこで情報通信研究機構(NICT)では、JGN-X上でネットワーク仮想化技術を用いたテストベッド(ネットワーク仮想化テストベッド)を運用し、新世代ネットワークの研究で開発された新しいネットワーク技術の実証を進めている。
一方、グローバルな仮想ネットワークの実現に向けては、JGN-X上のネットワーク仮想化テストベッドと米国NSFが推進するGENIのネットワーク仮想化テストベッドではアーキテクチャや実現方式が異なるため相互接続が困難であり、従来のネットワーク仮想化技術では通信品質(パケット通過量、遅延時間)の保証ができず、高品質なサービス提供が難しいという課題があった。
今回発表を行った日本の6者は、NICTの委託研究「新世代ネットワークを支えるネットワーク仮想化基盤技術の研究開発」を共同で進めている。本研究開発の取り組みの一環で、ネットワーク仮想化テストベッドを構成する装置(仮想化ノード)を、NICTが共同研究契約を結ぶ米国ユタ大学のキャンパス内に設置し、ProtoGENIテストベッドと接続した。この環境下において、3つの実験を通じ、日米間にまたがるマルチドメイン網をプログラマブルに制御することに世界で初めて成功したことになる。
今回の成果は、2013年7月21日(米国時間)にGENIがウィスコンシン州立大学で主催するネットワーク仮想化テストベッドに関する研究者向けカンファレンス「GEC17(The 17th GENI Engineering Conference)」において、デモンストレーションを交えて紹介する予定。
発表によれば、2015年3月までの委託研究期間において、先進的ネットワーク仮想化基盤技術の確立の目標に向け、日本側のテストベットの更なる高機能化、高性能化について、関係組織が連携して研究開発に取り組んでいくとしている。