東京工科大学は7月16日、女性が男性よりも約7倍多く発症し、全身の恒常的な痛み、全身疲労、不眠などを伴う「小児線維筋痛症」が、コエンザイムQ10の欠乏によって起こることを発見したと発表した。

同成果は同大応用生物学部の山本順寛 教授、横浜市立大学医学部小児科らによるもの。詳細は学術誌「Redo×Report 2013」に掲載された。

線維筋痛症は、全身の疼痛と慢性疲労を伴う原因不明の難病で、近年、小児でも発症することが分かってきた。ミトコンドリア機能不全による筋肉の酸化傷害が重要との説が有力とされているが、根本的な治療法はないのが現状だ。

そこで今回、研究グループは、小児の線維筋痛症患者の血漿酸化ストレスマーカーを測定する形で検証を行った。

その結果、小児線維筋痛症の患者は、同世代の健常小児と比較して有意に血漿酸化ストレスマーカーが高いことが確認されたほか、それ以上に、血液中コレステロールが高く(高コレステロール血症)、コエンザイムQ10が少ないことを発見したという。

この結果を受けて研究グループでは、患者にコエンザイムQ10を投与したところ、高コレステロール血症の改善と疲労度の軽減が認められることも確認したという。

今回の成果について研究グループは、小児線維筋痛症患者の酸化ストレスが亢進していることが明らかとなったことで、抗酸化物質による治療が期待できるようになり、中でもコエンザイムQ10の投与により、コレステロール代謝および疲労度の改善が認められたことから、同物質の投与が有望と考えられるとコメントしている。