東京都・銀座の「ギャラリー小柳」で、音を使ったマルチメディア・インスタレーションで世界的に知られるジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラーによる個展「Experiment in F# Minor(嬰ヘ短調の実験)」が開催される。開催期間は8月7日~10月19日(日曜、月曜、祝日、8月15日~19日は休館)、開場時間は11:00~19:00。入場無料。

Janet Cardiff and George Bures Miller《Experiment in F# Minor》2013 Mixed media interactive sound installation including 72 loudspeakers on two wooden worktables 2.44mx1.83m (C)Janet Cardiff and George Bures Miller/Courtesy of Gallery Koyanagi

同展では、ジャネット・カーディフ&ジョージ・ビュレス・ミラーの最新作である「Experiment in F# Minor 嬰ヘ短調の実験」(2013)を展示する。暗いギャラリー空間に浮かび上がる2.44メートル×1.83メートルの大きなテーブルの上に、あらゆる形と大きさの72個のスピーカーが林立するように設置されており、鑑賞者の動きや影によって、人の声からピアノ、エレキギターやドラムビート、さらにクラッシックからロックまでのあらゆる音が、時には静かに流れ、時には複雑に混じり合った楽曲となり、無限に変化する音楽を奏でる。そして、人がいなくなると音楽は静かになっていき、やがて無音が訪れるというサウンドインスタレーション作品だ。

また、8月10日より開催される「あいちトリエンナーレ2013」では、40人の聖歌隊の声を別々に録音し、整然と並べられた40台のスピーカーで再構成する同作家の代表作「40声のモテット」(2001)が出品される。音がその場所の特性を投影し共鳴させる作品として、これまでアメリカやヨーロッパをはじめ、日本ではメゾンエルメス(2009年)でも公開されている作品だ。

Janet Cardiff《The Forty Part Motet》2001 A re-working of Spem in Alium Nunquam Habui 1573, by Thomas Tallis Photo: Myoung-Rae Park (Platform Seoul Installation 2008) (C)Janet Cardiff & George Bures Miller/Courtesy of Gallery Koyanagi

なお、ジャネット・カーディフは1957年、ジョージ・ビュレス・ミラーは1960年カナダ生まれのアーティスト。アルバータ大学で出会った2人は1995年頃から共同制作を開始し、現在はカナダのブリティッシュ・コロンビア州 グリンドロッドとドイツのベルリンを拠点に活動している。ヘッドフォンから流れるガイドに導かれて公園や街中などを巡りながら、目前の光景と聞こえてくる音によって創り出される情景と物語を追う「ウォーク」シリーズなどの代表作がある。一貫して、観客が周囲の環境から切り離され、作品世界を実体験として感じられるような没入型の作品を展開。2001年の「第49回 ヴェネツィア・ビエンナーレ」、2012年の「ドクメンタ13」など、国際展にも多数参加している。