東京工業大学(東工大)学術国際情報センター(GSIC)は7月16日、2013年秋をめどに、保有するスーパーコンピュータ(スパコン)「TSUBAME2.0」を理論演算性能値として世界最高レベルとなる単精度17PFlops、倍精度5.7PFlopsへと引き上げ、「TSUBAME2.5」へと発展させることを決定したと発表した。
TSUBAME2.0はGSICを中心に、NEC、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)、エヌビディア・ジャパンなどが協力して開発した日本初のペタスケールスパコン。2010年より稼働を開始し、これまでにスパコンの世界ランクTop500で4位(2010年11月版)にランクインしたことがあるほか、実用的な科学技術計算で最も優れた性能を達成したグループに与えられるACM Gordon Bell賞特別賞を受賞するなど、学内だけでなく産業分野などでの活用も行われてきた。
今回のTSUBAME2.5への増強は、TSUBAME2.0の利用率が繁忙期では90%以上、時には99%に達するなど、運用予定期間を2年以上残した現時点ですでに計算資源がひっ迫していることなどを踏まえて決定されたもの。
増強はNECや日本HPなどとともに行われ、電力不足などの社会的問題などの観点から、現在の消費電力と同等もしくは減少させつつ、性能をTSUBAME2.0比で約2.4倍となる倍精度5.7PFlops(単精度17PFlops)に引き上げることを目指し、現在導入しているGPUアクセラレータを置き換える形で行われる予定。
GSICでは、これによりTSUBAME2.0では実現できない規模の並列計算を可能とし、今後も大幅な増加が予想される超大型計算の需要を満すとともに、スーパーコンピュータ「京」や他の大学の情報基盤センターと連携して、社会貢献アプリケーションの計算需要に応えていく方針とするほか、これらの技術を活用して2015年末に導入を予定している次世代スパコン「TSUBAME3.0」の開発につなげていきたいとしている。