東京工業大学 学術国際情報センター(GSIC)は7月16日、今秋をめどに、同大学が運用するスーパーコンピューター「TSUBAME」(Tokyo-tech Supercomputer and UBiquitously Accessible Mass-storage Environment)を増強すること発表した。次期バージョンは「TSUBAME2.5」と呼ばれ、現行の「TSUBAME2.0」と比較して約2.4倍の性能を目指すという。
TSUBAME2.0は、GSICが中心となり、日本電気株式会社(NEC)、日本ヒューレット・パッカード(日本HP)、エヌビディア・ジャパン(NVIDIA)が中心となって開発したシステム。日本初のペタコン(ペタフロップス性能のスーパーコンピューター)として2010年より稼動しており、The Top 500で4位、The Green 500で1位、The Graph500で3位を獲得するなどの実績を誇る。
GSICは、今回の増強の背景について、「繁忙期には利用率90%以上、時には99%に達しており、運用予定期間を2年以上残した現時点ですでに計算資源が逼迫している状況となっている」と説明。「社会貢献アプリケーションをはじめ、産業利用を含めた需要の急激な増加への対応を行うこと」を目的として改修に着手することを明かしている。
現行のTSUBAME2.0は、2.4PFlops(ペタフロップス:1秒間に5700兆回の浮動小数演算が可能)という演算性能であるのに対し、次期バージョンのTSUBAME2.5では5.7PFlopsを目指す。この際、「電力不足という社会的要請も鑑み、現在の消費電力と同等または減少させるものである必要がある」ことから、現有のGPUアクセラレータを全部または一部置き換えるかたちで増強装置を導入する。また、TSUBAME2.0で稼働しているユーザ各自のアプリケーション及び商用アプリケーションを継続的に利用できるようにするなどの配慮も行うという。
なお、GSICでは、今回の増強について、「2015年末に導入予定のTSUBAME3.0に繋がる重要なステップ」と位置付けている。