東京・上野の国立科学博物館は、小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星「イトカワ」から持ち帰った微粒子を、7月17日より展示する。JAXAの協力を得て、「はやぶさ」と同等の大きさに作られたレプリカと共に常設展示する予定。
展示は、国立科学博物館の地球館の2階で行われ、微粒子観察システムと呼ばれる光学顕微鏡を利用して、0.049mmの微粒子を1人あたり1分の持ち時間で観覧することができる。この微粒子は、かんらん石の単結晶で、隕石の衝突などによってできた破断面も見られるという。
JAXAの太陽系科学研究系准教授の安部 正真氏は、微粒子から小惑星「イトカワ」の歴史が見えると語る。
「イトカワは元々20~30kmの母天体であったが、小惑星同士の衝突などにより破壊された。今のイトカワはラブルパイル天体と呼ばれるがれきの寄せ集めだ」(安部氏)。
今後、太陽風や銀河宇宙線による宇宙風化という現象によって、小惑星の表面が剥離し、今後1億~10億年程度でイトカワは消滅してしまう可能性があるという。
また、同展示物と並び、日本の宇宙史に名を連ねる人工衛星やそのレプリカも展示されている。そのうちの一つである、「宇宙実験・観測フリーフライヤ(SFU)」は実物が展示されている。
SFUは、1995年に日本のH-2ロケットで打ち上げられ、衛星軌道に乗ったのち、10カ月後に若田 光一宇宙飛行士の手によってスペースシャトルで回収された。
ほかにも「リカバリービーグル(REV)」と呼ばれる宇宙空間で超伝導材料を製造した人工衛星や、日本初のロケットである「ペンシルロケット」などが展示されている。日本の宇宙史を、ぜひ自分の目で確認してみてほしい。