東北大学大学院経済学研究科の吉田 浩教授と経済学部加齢経済ゼミナール所属の学生らが、国政選挙の年齢別投票率と国の予算の統計をもとに分析を行った結果、20歳から49歳までの若年世代の投票率が低下するにしたがって、将来の国民負担となる国の借金が増加し、社会保障支出も50歳以上の高齢世代に多く配分されることによって、結果的に若年世代に不利になっていたことが確認されたと発表した。
この分析結果から試算を行うと、選挙棄権により若年世代の投票率が1%低下すると、若年世代1人当たり年間で約13万5000円分の損失が生じる結果になるという。
まず、国債発行額においては1967年から2012年までの24回の国政選挙において、若年世代の投票率の低下と新たに発行される国債額の増加を分析。その結果、若年世代の投票率が1%低下すると、将来負担となる国債が若年者1人当たり約7万5300円分発行されることがわかったという。
また、社会保障給付においても、1976年から2009年までの世代別の投票率と社会保障給付の世代別配分の関係を分析した結果、同じく1%低下することで「若年世代1人当たりの児童手当などの家族給付の額」と「高齢世代1人当たりの年金などの高齢者向け給付」の差が約5万9800円ほど拡大し、若年世代に不利になることがわかったという。
これらの分析から、若年世代の投票率が1%の低下すると、将来負担となる国債が約7万5300円増加し、また、社会保障給付でも高齢世代に比べて約5万9800円の格差拡大になることから、合わせて年間13万5000円あまりが若年世代の経済的な不利として計算されている。
発表では、若年世代の投票に関して「若年世代はこのような政治不参加のコストを認識して、世代の声が国の政策に反映されるように投票に参加する行動を起こすことが期待される」としている。