日本HPは7月12日、オールフラッシュストレージ「HP 3PAR StoreServ 7450」および、サーバ自身が持つストレージに対してバックアップを行う、仮想化環境で動作する重複排除バックアップソフト「HP StoreOnce VSA」を発表した。

オールフラッシュストレージの「HP 3PAR StoreServ 7450」は、既存モデル「HP 3PAR StoreServ 7400」の同等構成に比べ、40%向上した処理性能554,000IOPSを遅延0.7msで提供する。また、従来の3PARファミリーと共通のアーキテクチャで提供され、エンタープライズ環境全体にわたり、共通の機能、統合された管理、運用を行うことが可能。

「HP 3PAR StoreServ 7450」(4ノードモデル)

新製品は、最大120のSSD(48TB)を搭載できる2ノード構成モデルと、最大240のSSD(96TB)を搭載できる4ノード構成モデルの2種類があり、価格はそれぞれ1,340万4,000円からと、2,646万8,000円からとなる。SSDは100GB SLC、200GB SLC、400GB MLCをラインナップしている。

日本HP エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 HPストレージ事業本部 事業本部長 福岡英治氏

同社は、単にSSDを載せただけでなく、フラッシュテクノロジーに最適化されたアーキテクチャ、コントローラ、およびソフトウェアを採用した点が他社と大きく異なる点だと説明した。

日本HP エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 HPストレージ事業本部 事業本部長 福岡英治氏は、「お客様はストレージに対し、I/0性能の向上を求めているが、これまでの製品では十分に応えることができなかった。それを可能にするのがフラッシュストレージだ。ただ、既存製品は性能と信頼性を両立させ、価格に見合うパフォーマンスを出していないため、フラッシュストレージの導入はあまり進んでいない。新製品は性能重視の製品で、戦略的な価格で提供する。他社の製品は、ハイエンドからミッドレンジまで共通の運用管理ができない。そのため、サイロ型のインフラにならざるを得ない。すべてのレンジで同じ運用が行えるのはHPだけだ」と述べた。

日本HP エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 HPストレージ事業本部 製品マーケティング本部 本部長 瀧澤一彦氏

また、日本HP エンタープライズインフラストラクチャー事業統括 HPストレージ事業本部 製品マーケティング本部 本部長 瀧澤一彦氏は、「新製品は、単にSSDを積んだだけでなく、最適化されたアーキテクチャを組み込んでいる。既存の製品はHDDのI/Oに特化されていたため、フラッシュの性能を引き出しきれず、内部的なボトルネックが発生していた。他社製品は性能とSSDの寿命を最大限延ばす設計が行われ、耐障害性やデータモビリティを考慮した製品になっていない」と自社の優位性を強調した。

最適化されたテクノロジーとしては、キャッシュマネージメント、帯域幅制御、不要なゼロデータ書き込み排除が搭載されている。

キャッシュマネージメントでは、16KBのキャッシュエリアを、データに合わせ4K、8k、16Kのいずれかに分割し、内部処理のI/Oを最適化する。これにより、書き込み回数の最小化も行えるという。また、アクセス頻度の高いデータを自動的にキャッシュにロードする処理や、キャッシュとSSD間のI/O処理を、キャッシュサイズが異なっても並立的に処理することにより高速化したという。

キャッシュマネージメント

帯域幅制御は、LUN単位に利用できる帯域を指定できる。これにより、ミッションクリティカルなアプリや、SLAの高い処理を優先させることが可能になるという。

帯域幅制御

そして、ゼロデータ書き込み排除では、x0000の不要なゼロデータを専用ASIC上で検出し、SSDに書き込まないようにしている。これにより、書き込み回数制限のあるSSDの寿命を延ばすと同時に性能アップを図っている。

ゼロデータ書き込み排除

同社ではターゲット市場として、クライアント仮想化、SaaS/クラウド、OLTP/金融サービスを想定しているという。

「HP 3PAR StoreServ 7450」のターゲット

「HP 3PAR StoreServ 7450」の主要なスペック

「HP StoreOnce VSA」は、専用ストレージハードウェアがなくても、サーバ自身の内蔵ストレージや外付けストレージを使ってバックアップするための重複排除バックアップストレージソフト。サーバの余剰リソースを有効活用することがねらいだ。

動作環境は、ハイパーバイザー上のVMで、現状はVMwareのみ(VMware5.x上)をサポート。ただ、今後はHyper-VやKVMのサポートも行っていくという。

使用可容量は10TBまでで、3年間の使用権として販売する。 価格は47万2,500円(3年間)で、7月23日から販売が開始される。