Freescale Semiconductorは7月12日、車載向け次世代ドライバ・アシスト・システム(ADAS)ソリューションの実装実験を、2013年7月27~28日にかけて宮城県スポーツランドSUGOにて開催されるSUPER GT 第4戦「SUGO GT300km RACE」より本格的に行っていくことを発表した。
2013年の残りのSUPER GT(第4戦~第8戦、JAF GP)にて行われる予定の同実装実験は「車両情報」、「走行中(駐車中)の車両周辺情報」、「運転者情報」、「データ転送・解析」の4つのテーマで実施される。
1つ目の車両情報としては、スピード、エンジン回転数、ハンドル舵角、車両姿勢(傾き)などの情報を取得し、その他のデータとそれらを融合して車体の安全性の向上を図っていくとする。
2つ目の走行中の車両周辺情報としては、サラウンドビューカメラやレーダーにより車両周辺情報の探知を行い、駐車の支援や車間距離保持、レーンキーピングアシスト、前方/ブラインドスポットにおける衝突防止への応用などが考えられている。
3つ目の運転者情報としては、ドライバーの発汗や心電、筋電などを取得するほか、モーションセンサによる筋肉の動きの解析し、負荷を最小限にする車内設計や、ドライバの走行中の異常検知などの応用につなげていきたいとしている。
そして4つ目のデータ転送・解析としては、これまでの3つの情報を車内モニタやクラウドサーバへ有線/無線通信で転送し解析を行い、予測安全やドライブアシスト、将来的な医療などにつなげたいとしている。
具体的には、SUPER GTに参戦しているチーム「apr」の車輛(30号車)を従来使用していたAUDI R8 LMS UltraからNISSAN GT-R NISMO GT3にマシンをスイッチ(車輛名も「IWASAKI OGT Racing GT-R」に変更)し、そこに各種の機器を搭載してレースに挑むこととなる。この変更や実装実験に関しては、すでに主催者であるGTアソシエイション(GTA)とも協議済みで、GTAもドライバの安全性向上などの観点から、今回の取り組みへの賛同を表明しており、新たなレースファンの獲得につながることへの期待も示している。
また、aprはこれにより日産自動車のGT-Rとトヨタ自動車のPURIUSの2台での参戦体制となる。
GT-Rのフロント、リア、両サイドにそれぞれカメラが搭載され、サラウンドビューモニタが構築されるほか、ドライバーにはバイタルサインなどを計測する機器が取り付けられ、車両情報と併せて、車体内に設置されたアプリケーションプロセッサを経由し、LTEで転送され、クラウドベースで各種情報の処理がなされる形で実験は行われる予定。ただし、実際のレース環境において、どの程度のスループットが出せるのかなどは、実際にレース場のコンディション(観客のLTE端末の使用数などを含む)により変化することから、将来的にはリアルタイム処理をして、遠距離に居るレースファンなどがそのデータをみてレース場にいるような感覚を得られるようなサービスの提供などにつなげたいとしているが、実験の初期段階としては、各種データを連動して(GPSのタイムスタンプを活用する予定だという)取得する方法の確立なども含めて、取り組みを行っていく予定としている。
なお、aprとしてはPRIUSの方にも同様の実験を適用させたいとしており、これらの実験によりドライバの安全性向上につながることなどの効果が確認されれば、GTAに全車対応などの働きかけを行っていきたいとしている。
また、フリースケール・セミコンダクタ・ジャパンでは、9月20日から22日まで富士スピードウェイにて「THE FREESCALE EXPERIENCE」と題したイベントを実施する予定で、レースの開催や少なくとも30以上のエンジニア向けテクニカルトレーニングの開催などを計画しているとしているほか、土日にかけては、家族向けイベントなども行っていくことを予定しているという。