マイクロソフトが主催する学生を対象としたITコンテスト「イマジンカップ 2013」の世界大会が2013年7月8~11日の日程で開催され、最終日に授賞式が執り行われた。日本代表チーム「Project N」は「イノベーション部門」に参加したが、惜しくも入賞は逃した。

イマジンカップ(Imagine Cup)は、マイクロソフトが主催する学生のための技術コンテストである。共同創設者ビル・ゲイツの"学生達に自分のアイデアや技術を発表する場を提供したい"という想いを基に2003年から始まった。今年11回目の開催を迎え、これまでに190か国165万人以上もの学生が参加しているという。

同大会では、学生たちにITのスキルやアイデアのみならず、そのアイデアを実用化・商用化するためのビジネスプランの立案力や、プレゼンテーションスキルも求める。そのため世界大会で勝ち抜くには、起業家マインドと英語力、グローバルなチャレンジ精神が必要となる。会場にはベンチャーキャピタルが足を運んだり、優勝者にマイクロソフトによる助成金制度が設けられるなど、起業へのチャンスもあることが特徴だ。

2013年の大会は、ロシア・サンクトペテルブルクで開催された。世界各国の予選を勝ち抜いてきた71か国・87チーム・309人のファイナリストたちが集結。テトリスの生みの親として知られるAlexey Pajitnov氏をはじめとしたコンピュータエンジニアやジャーナリスト、アナリストらが審査員を務めた。

受賞チームと作品の概要は次のとおり。このほかの受賞チームは、マイクロソフトのWebサイトで紹介されている。

  • イノベーション部門

1位 SoundSYNK:チームColinked(英国):Bluetooth、Wi-fiなどを経由して、部屋中にある複数のモバイルデバイスから、音ズレなく一斉に音楽を奏でることができるスマートフォン/タブレット用アプリ

2位 DORA:チームDORA(スロヴェニア):手術前や手術中などに医師と患者のコミュニケーションを助けるソリューション

3位 SkyPACS:チームMYRA (タイ) 医療用画像の統合管理ツール(Window 8アプリとWebアプリ)。MRIやCTなどの画像の管理や、診断プロセスをよりわかりやすくシンプルにし、医師の活動を支援する。

  • ワールドシチズンシップ部門

1位 For a Better World:チームFor a Better World (ポルトガル) Ana Ferraz氏1人で、5分で血液型判定できるアプリケーションと測定装置を開発した。ローコストで手軽なため、病院や救急車、事故現場など血液型を急いで判定しなければいけない現場で役に立つ

2位 Omni-Hearing Solution:チームOmni-Hearing Solution (台湾) 既存の補聴器にとって代わるソリューションを、スマートフォンアプリ、クラウド、音響処理技術を用いて開発した

3位 Foodbank Local:チームConfufish Royale(オーストラリア) アプリを使用して、地域のフードバンクに企業や個人が簡単に食料を寄付できる仕組み

日本の代表チーム「Project N」は、京都コンピュータ学院卒の米山哲平氏とチェスター・リー氏の2人。作品は、米山氏が4年をかけて開発したゲームを開発するためのエンジン「Knowall Library 5.0」だ。プログラミングの経験に乏しい初心者でも、容易に2D・3Dのゲームを制作できるソリューションであり、4月に開催された日本代表選考会でも高い評価を得ていた。

今回は「ゲーム」「ワールドシチズンシップ」「イノベーション」の3部門があり、日本チームが参加したイノベーション部門は、同大会から新たに設立された部門だった。