あいちトリエンナーレ実行委員会は、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2013」(8月10日~10月27日)の開催を前に東京都内にて記者発表会を行った。
今回で2回目の開催となる国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」のテーマは、「揺れる大地―われわれはどこに立っているのか:場所、記憶、そして復活」。五十嵐太郎・東北大学大学院工学研究科教授を芸術監督に迎え、愛知芸術文化センター、名古屋市美術館などの名古屋市内に加え、岡崎駅など岡崎市の一部を会場とする大規模なイベントとなる。
この発表会では、はじめに五十嵐氏がプレゼンテーションに立ち、これらの概要に加えて一部の参加アーティストが紹介された。
また、パフォーミングアーツ統括プロデューサーの小崎哲哉氏からは、演劇やダンスなどのプログラムが紹介された。
参加アーティストからは、建築家の青木淳氏と現代美術家・奈良美智氏が登壇。青木氏は、作品として何かを作るのではなく、メインの展示会場となる名古屋市美術館の「空気を変える。いつもと違うように見えるようにする」ということをコンセプトに、通常とは異なる場所を入り口にするなどの動線と展示作品の配置を計画している。
青木氏は、「モノでもコトでもなく、体験をコントロールするような」取り組みで、展示会場そのものを作品とする。その場に作品を展示するアーティストとのコラボレーションともなる取り組みについて、青木氏は「ここでやろうとしていることは、広い意味で「建築」であると思っている」と述べた。
一方、奈良氏は大学時代から長い時間を過ごした愛知で、地元に住む昔からの友人・予備校講師時代の教え子などと「THE WE-LOWS/ ザ・ウィロウズ」というグループを作り、彼らと共にガレージを改造したカフェ&ギャラリー「WE-LOW House」を設置する。
カフェといっても、大学の廊下などで「小柴食堂」と書かれた段ボールを看板に無料で食べ物を振るまっていた奈良氏の学生時代の友人・小柴一浩をフィーチャーし、狭い室内は宇宙を表現した内装に。ギャラリーでは奈良氏が個人的に出会ったタイやオーストラリアの作家など、世界のアートシーンのメインストリームではない作家の作品を月替わりで展示するなど、奈良氏いわく「トリエンナーレでなくては、自分と仲間とでなくてはできない」作品作りを行うとのことだ。
両氏とも、東日本大震災の経験から考え、行動してきたことが何らかの形で今回の作品作りに結びついているという。もちろん、それだけが作品のコンセプトとなるわけではないが、現代アートは社会の影響を受けて生まれるものだ。五十嵐氏は同イベントを「アートを通じて社会を考えるきっかけになる」側面もあると述べ、会見を締めくくった。