マンダムは7月10日、頭皮から分泌されるアブラ(頭皮脂)が毛髪上へ移行し、それによりスタイリング剤の整髪性能(セット力、アレンジ力、キープ力)が低下することを発見したと発表した。
同成果の詳細は、7月9日に開催された「第72回 SCCJ研究討論会」で発表されたほか、8月10日~11日に神戸にて開催される「第3 回 日本美容皮膚科学会 総会・学術大会」においても発表される予定だ。
これまで、思いどおりのヘアスタイルが作れなかったり、ヘアスタイルを長時間キープできないといった理由として、湿気や汗などの水分が主たる原因と考えられてきたが、今回の研究から、水分以外の因子として、頭皮脂がヘアスタイルに影響を及ぼすことを突き止めた。
具体的な実験方法としては6名の男性の洗髪直後と洗髪7時間後の毛髪を採取し、毛髪上の頭皮脂量の分析を実施。その結果、洗髪7時間後の毛髪では、洗髪直後に比べ頭皮脂が増加していることが確認され、頭皮脂が毛髪上に移行することが判明した。
また、分析値に基いて調製したモデル頭皮脂を、毛束に塗布した後にスタイリング剤(ヘアジェル、ヘアワックス)で整髪した場合と、モデル頭皮脂を塗らない場合(未塗布)とで、ヘアジェルについてはセット力(毛束に力を加え、毛束が折れたときにかかる荷重)を、ヘアワックスについてはアレンジ力(毛束に櫛を通したとき、櫛にかかる荷重)をそれぞれ測定したところ、モデル頭皮脂を塗布した場合、それぞれの整髪力が低下することが判明したほか、実際に人の頭髪において、ヘアジェルやヘアワックスを洗髪直後に塗布した場合(頭皮脂なし)と、洗髪後24時間を経過した後に塗布した場合(頭皮脂あり)で、専門パネル11名による官能評価の結果、いずれについても頭皮脂があると整髪力が低下していることが確認されたという。
さらに、樹脂により頭髪を固めて整髪するヘアジェルによるキープ力(ヘアスタイルを維持する力)への頭皮脂の影響調査として、毛束にモデル頭皮脂を塗布した後、ヘアジェルをなじませてからロッドに巻きつけてカール状に整髪し、一定時間後のカール保持率の評価を行ったところ、モデル頭皮脂を塗布した場合、頭皮脂を塗布しない場合よりカール保持率が低下することが判明したとする。
これらの結果から、どういったアブラが影響しやすいのかを調べたところ、若い男性の頭皮脂に多く含まれるオレイン酸が、毛髪へ移行しやすく、またセット力への影響も大きいことが判明したとのことで、同社では、自社の持つパウダースタイリング技術を応用して、パウダーによる吸油効果と、頭皮脂の通り道となる毛髪間の隙間(毛細管)を形成しないことで、頭皮脂が毛髪に移行しにくいスタイリング剤を新たに開発。8月26日より、頭皮脂の影響を受けにくい頭髪化粧品「ギャツビーヘアジャム」として販売を開始する予定だとしている。