ネポンとNECは7月11日、農業の生産性向上や農産物の品質改善に貢献する農業ICTクラウドサービス(ネポンブランド名:アグリネット)の強化を行い、あらかじめ設定したスケジュールにあわせて灌水制御(作物に最適な水分量になるように、水分をコントロールすること。水分量が少ない場合は水分を供給し、逆に水分量が多すぎる場合は適切な水分量になるまで水分の供給を停止する)を行う機能を追加した。

今回の機能強化では、ハウス内に設置した灌水装置(水が出るチューブ)を、1日のうち何時から何時まで、どのくらいの間隔で作動させるか、どのくらいの時間水をやるのかなどの灌水にかかわる詳細な設定を、1日48パターンまで、クラウド経由によってパソコン画面で設定可能となる。また、過去の灌水実施の実績レポートを、パソコンやスマートフォンから確認できるため、今後の灌水設計にも活用できる。

従来の灌水装置は、一般的には1台の灌水制御盤あたり8バルブが上限であったが、32バルブまでサポートすることにより、大規模な圃場への対応や同一圃場内でのより細かな養液管理を実現することが可能となる。なお、本灌水制御機能の価格は月額4,960円(税別)から。

灌水制御機能の概要

また、千葉県香取市の農事組合法人和郷園が、養液栽培(肥料分を含んだ水を灌水する栽培方法)で栽培する農作物の品質安定の実現に向けて、初めて本サービスを導入した。

和郷園では、従来から養液栽培で灌水制御を効率的に行うために、ハウスごとに設置した灌水プログラムが複数設定できる灌水制御盤を利用していた。農業ICTクラウドサービスにより、生産者がパソコンを通じて遠隔から灌水制御設定したり、灌水状況を監視したりできるようになった。また、クラウドと連携する灌水制御盤も大幅な機能拡張を行い、大型のハウスに必要だった複数台の灌水制御盤が、1台に集約でき、これらの灌水制御のノウハウは、蓄積してグループ内で共有することも可能となった。

ネポンとNECは、2012年7月に全国農業協同組合連合会と、農業ICTクラウドサービス事業で協業し、展開を進めている。今回の機能強化と和郷園への導入も本協業によるものだという。