英国放送協会(BBC)は7月5日(現地時間)、3Dテレビ番組計画の一時停止を発表した。無期限の延期としており、事実上の中止とみてよさそうだ。6月には米国のESPNが3D専用チャンネルの閉鎖を発表したばかり。BBCの発表は3Dテレビの将来にさらなる打撃となった。
BBCは2011年に3Dテレビ番組の実験的配信を開始した。同年のウィンブルドン選手権の決勝戦にはじまり、ロンドン五輪などのスポーツ番組、「Strictly Come Dancing」の決定戦やエリザベス女王のクリスマススピーチなどのイベントで実験的に3D放送を行った。だが、3D対応TVを所有する世帯は約150万世帯といわれており、このうち2012年夏のオリンピックの開会式をみた人は50%程度、女王のクリスマススピーチは5%程度にとどまったという。
このように需要が少なく、利用も伸びないことを受けて、計画を無期限に延期することにした。「英国では、3D TVに対する大きな需要は見られない」とBBCで3D担当トップを務めるKim Shillinglaw氏はコメントしている。需要が伸びない理由のひとつとして、映画館で映画を鑑賞するのと家庭でのTV閲覧の環境は異なる点を挙げている。
BBCでは11月に人気ドラマ「Dr.Who(ドクター・フー)」の50周年記念番組を3D番組として放映する予定で、これが最後になるという。