会社を辞めた人――原因は会社だったのか、それとも上司や管理職に不満があったのか。後者を挙げる人は少なくないだろう。それぐらい、管理職の役割と影響力は大きい。Forbesが、優秀な人材が管理職を判断するポイントを「優秀な人が会社を辞める6つの理由(原題 : Six Reasons Your Best Employees Quit You)」という記事で指摘している。

会社を辞める理由は人様々だが、企業にしてみれば人は大きな投資、人材の大切さはあらためて書くまでもないだろう。終身雇用という考え方が薄れつつあり、日系企業でも転職が珍しくはない中で、優秀な人材を引き止める「リテンション」の重要性を指摘する声がある。Forbesによると、優秀な社員は、上司や経営陣を以下のポイントから判断しているという。

1.ビジョンを伝えている?

四半期の売上目標を口うるさく言う前に、会社としてのビジョンをしっかり示そう。ビジョンと売上目標は同義ではない。だが、ビジョンが売上をもたらし、ビジネスを加速することになる。

Walt Disneyを設立したWalt Disney氏は、2人の娘たちがロサンジェルスのグリフィスパークの回転木馬で遊んでいるのを見たときに、ディズニーランドの構想を抱いたという。他の親とともに子どもを見守りながら、大人も子どもも楽しめる場所を作ろうというビジョンから生まれたのが、今日も多くの人が足を運ぶディズニーランドだ。Disney氏の死後45年以上になるが同社の時価総額は1280億ドル、現在もエンターテイメント界のトップに君臨している。

マネージャーや経営陣は会社のビジョンや長期的目標をきちんと伝えているかを確認したい。

2.会社のビジョンやミッションと個々の業務のつながりは?

「自分の会社のミッションを考えると、自分がやっている仕事は重要なんだと実感する」――この質問の回答から、リテンション、顧客の評価指標、生産性、収益性が図れるという。つまり、スタッフが会社のミッションと自分の仕事の間に強い結びつきを感じている会社ほど、リテンションや顧客の評価、さらには業績が高いという。

記事では、例としてGoogleを挙げている。Googleのミッションはご存知のように、「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること」である。Google検索のアルゴリズムがどうなっているのかを理解するのは難しいが、Googleのミッションは分かりやすい。戦略やアプローチは状況に合わせて変わるが、ミッションはぶれないように。そして、経営陣はスタッフの個々の業務にしっかりと関連づけ、たどっていくとミッションにつながるように持っていきたい。

3.社員は自分の未来をイメージできている?

社員はみな自分のキャリアを構築したいと思っている。だから、定期的に社員の勤務評価を行い、功績を認めたりアドバイスすることは大きな一助となる。だが、個人面接が一方的なままで終わっていないだろうか? 組織の中での今の自分、将来の自分が描けないと社員は不満を感じるようになり、不協和音が生じやすい。

4.働くのが楽しい職場?

楽しく働き、かつ成果をあげることは可能だ。ソーシャルメディア、マルチメディア、ゲーミフィケーション、モバイル端末……さまざまな技術や仕掛けを利用して、ちょっとした工夫でモチベーションを高めたり、仕事を楽しくできる。備品の支給や、オフィスのインテリアをちょっと工夫するだけでも気分は変わるもの。もちろん、休憩や終了時間を守らせるなど、疲れ果てるまで働かせる環境は論外だろう。個人の責任にするのではなく、上司自らが働く環境の改善に心がけたい。