イメーションは、米Imationが買収した米Nexsan社のストレージソリューションの国内事業展開を7月中旬より開始し、エンタープライズストレージ市場に本格的に進出すると発表した。
Imationは1996年に3Mから分社した会社で、コンシューマ市場では、BD-RやDVD-Rなどの光メディア、企業向けにはLTOなどの磁気テープ製品を中心に販売してきた。
イメーション コマーシャル製品事業本部 取締役本部長 高橋秀明氏は、米Nexsan買収の背景を、「光メディアや磁気製品の販売は年々シュリンクしており、ストレージという新しいビジネスを展開することで、事業を拡大していくことがイメーションの戦略だ。Nexsanのストレージには、大きく2つのビジネス貢献を期待している。1つは、これまでのSMBに加えて、エンタープライズストレージ市場に拡大できること。もう1つは、北米中心の販売を、他の地域にも拡大することだ。とくに日本は最重要地域に位置づけられている。国内のストレージ市場は大きいが、Nexsanのシェアは低い。その分伸び代が大きい」と語った。
同社では、今後、Store(保存する)、Protect(保護する)、Connect(コネクト)の3つのニーズに対して製品やサービスを投入し、AVIやデータメディア以外のストレージ分野での売り上げ比率を高めることを世界戦略に据えている。
NEXSANの製品には、大容量のデータ保存やバックアップ、アーカイブに適したSANストレージの「E-シリーズ」、大容量データの保存、バックアップ・アーカイブに適したユニファイド・ストレージ「NEXSAN NST5000」、アーカイブ用ストレージシステム「ASSUREON」があるが、主力は「E-シリーズ」だ。
イメーション コマーシャル製品事業本部 ストレージ・ソリューション営業部 部長 渡辺浩二氏によれば、E-シリーズには、高密度、低振動、低発熱という3つの特徴があるという。
高密度では、引き出し型ドライブベイを採用することで、ラックの奥行きを利用でき、たくさんのHDDを搭載できる。引き出しを開けてもHDDは稼動したままで、ホットスワップで交換きる。
低振動は、引き出しにHDDを格納する際、ドライブを向かい合わせに実装することで実現。これにより2つのHDDの回転方向が逆になり、互いの回転振動を相殺できるという。
低発熱では、HDDの基板面どうしを向き合うように装着し、その面の間隔を広めにすることで、スムーズなエアーフローを実現。また、温度センサーによってファンの回転数を適切に制御している。
渡辺氏は、「HDD故障の主要原因である振動と熱を抑えることで、非常に故障が少なくなっている」と説明する。
また、各HDDへの電力供給を最適化するNexsan独自の「AutoMAIDR」技術により、最大87%の消費電力を削減する。
イメーションでは、Nexsan専任部門を社内に設置し、営業、マーケティング、プリセールス、ポストサポートを組織的に推進する。
特に重視するのは、販売代理店施策だ。同社ではNexsanの直接販売は行わず、すべて代理店経由で販売する。そこで同社はパートナー支援のため、新たな「Nexsanパートナープログラム」の提供を開始し、営業・技術情報を積極的に提供するほか、案件登録の仕組み、トレーニングプログラム、セールス支援プログラムなどのメニューを構成する。
同社では医療、金融、データセンター、公共分野を中心に市場を開拓していくという。