IDC Japanは7月3日、国内企業によるデータセンター(DC)投資の動向調査結果を発表した。
この調査は、クラウド事業者やITベンダーなどのデータセンター事業者と、金融機関や製造業などのうち自社でデータセンターを所有している一般企業を対象に行われ、調査したDC事業者65社のうち18.5%にあたる12社がDCを新たに開設する予定があると回答。DCを所有する一般企業205社のうち7.3%にあたる15社がDC新設予定ありと回答した。
企業のITインフラの災害対策強化を図るために、今後もDC新設投資が継続するとIDCではみており、特に一般企業が事業者DCにIT運用をアウトソーシングする傾向が強まっているため、DCの新設は事業者DCにおいて加速すると見込んでいる。
また、データセンターを新設する立地について調査したところ、新設するDCのサーバ室が1,000平方メートル以上の大規模なデータセンターでは、東京都23区内での新設予定が多いことがわかった。東日本大震災後の電力不足で東京都内の立地は一時敬遠される傾向があったが、電力問題が急に顕在化する恐れがなくなってからは、都内のネット系企業などの重要顧客の拠点に近い23区内の立地に再び注目が集まっている。
さらに、近年データセンター設備の技術的な陳腐化/老朽化が課題となりつつあり、既存データセンターを統廃合する必要が出てきている状況のなか、今回調査対象となった270社の企業のうち、18.9%にあたる51社が既存データセンターを統廃合する予定があると回答。その理由として最も多く挙げられたのは「運用/管理コストの削減」だった。これは、既存データセンターの建物設備、電気設備、空調設備の老朽化がシステムの運用効率の改善の足かせとなっていることが背景となっている。
今後新設されるデータセンターでは運用効率の追求が課題になるとIDCではみており、「データセンターではIT機器だけでなく、建物や設備も含めた運用効率の追求が重要となる」と分析している。