カネカは7月3日、同社100%子会社である玉井化学が、従来製品比で蓄熱量を倍増させた潜熱蓄熱材「パッサーモF20」を開発し、2013年7月より販売を開始すると発表した。

治験薬や特殊薬品・検体などの医療・医薬分野などで温度管理を伴う輸送ニーズが増加しているが、冷凍・加湿機械式コンテナ(リーファーコンテナ)や定温管理が可能な輸送車でそれらを輸送する場合、輸送量が少なくても1台/1車チャーターする必要があり、コストがかさむという課題があった。

潜熱蓄熱材は、蓄熱材組成物が固形から液体に融解する融解温度近くに温度が維持されることを利用した蓄熱材だが、単一物資の場合、物質固有の融解温度に依存するなどの課題があった。同製品では、天然油脂から加工した原料を主剤とし、独自の配合処方設計技術を活用することで、複数の有機化合物を組み合わせ、融解および凝固のバラつきを抑制することに成功しており、これにより発泡スチロール製容器と組み合わせた温度管理輸送容器に適用した場合、15~25℃の範囲の温度帯を維持できる時間が従来品比約2倍となる約150時間(35℃環境下)に伸ばすことが可能になったとしている。

なお同社では、同製品と断熱容器を組み合わせた定温輸送用梱包資材分野で、2016年度売り上げ10億円を目指すとしている。

パッサーモF20

玉井化学の発泡スチロール製容器と組み合わせた温度管理輸送容器「TACPack」にパッサーモF20を使用した例