矢野経済研究所は1日、国内のタレントマネジメントパッケージライセンス市場に関する調査結果を報告した。調査は2013年4~6月、国内のタレントマネジメントパッケージベンダおよびタレントマネジメントシステムの導入ユーザーを対象に、専門研究員による直接面談を通じて行われた。
タレントマネジメントパッケージは、企業のHRM(Human Resource Management)を支援するシステムの一種で、個人の能力(タレント)を企業の競争力向上につなげることを目的に、人材情報管理、採用・調達管理、人材育成、目標管理といった機能を提供するものである。本調査では、タレントマネジメントに特化したパッケージ製品だけでなく、ERPパッケージやHRMパッケージの一つのモジュールとしてこれらの機能を持つものも対象とした。
2012年のタレントマネジメントパッケージライセンス市場は、前年比19.9%増の44億6,000万円となり、2ケタ増の成長を示した。タレントマネジメントシステムは、グローバル展開の推進のように、国内企業を取り巻く環境が急速に変化を遂げる中、この変化に対応できる人財の確保・育成といった企業の課題を解決するものとして注目され、投資が進められた。
矢野径税研究所では、2013年の同市場は前年比15.5%増の51億5,000万円と予測している。ワールドワイドで十分な実績を持つタレントマネジメントシステムが日本市場でライセンス提供を開始しており、海外進出を積極的に推進しようとしているユーザー企業にとって、より充実した環境が整うことなどから、投資は順調に増加するという。
また2014年以降について同研究所は、先進的なユーザー企業のグローバル人財情報管理のための投資が一巡することや、企業のHRM・HCM(Human Capital Management)の中でも、タレントマネジメントを給与管理や勤怠管理と比較した場合に優先度が低いこと、タレントマネジメントシステム導入に関する国内導入事例が少なく、導入の効果を実感しにくいことなどが市場成長の懸念材料になると考えている。