フィンランドNokiaは7月1日(現地時間)、ドイツのSiemensとの合弁による通信機器ベンダーNokia Siemens NetworksのSiemensの株式を取得し、完全子会社することを発表した。
買収金額は約17億ユーロ(約2200億円)で、一度は切り離した通信機器事業を再び手中におさめることになる。この分野ではHuawei Technologiesなどの中国企業が猛攻しており、競争は激化している。
Nokia Siemens Network(NSN)は、NokiaとSiemensが2007年に立ち上げた通信インフラ機器メーカー。無線アクセスやコアネットワーク、管理サービスなどを事業とする。
取引はすでにNokiaとSiemensの取締役会の承認を得ており、取引が完了するとNSNはNokiaの完全子会社となる。Nokiaによると、現在NSNを率いるCEOのRajeev Suri氏がCEOを続投するなど、現在の経営陣やガバナンス体系はそのまま継続する計画という。
2社が合弁会社立ち上げを発表した2006年当時は通信インフラ業界は大きな変化を迎えており、AlcatelとLucentなど、大手同士が手を組む動きが見られた。NSNは赤字計上が続いたが、2012年第3四半期の黒字決算などこのところ持ち直していた。NokiaのCEO、Stephen Elop氏は「戦略の集中と強いリーダーシップにより、オペレーションと財務の両方で構造的に改善している」とし、完全子会社化により「テレコム機器市場を形作り、持続可能な価値を生み出す魅力的なチャンスになる」とコメントしている。Ericssonが先にSony Ericssonから撤退して端末事業を完全に手放したのとは対照的な動きとなった。
ABI Researchが発表した2012年通年の無線アクセスネットワーク(RAN)市場では、EricssonとHuaweiがともに約24%のシェアでツートップとなり、NSNは3位。だが、2012年第4四半期のみでは、NSNはHuaweiをおさえて2位となっている。
取引は規制当局の承認を得た後、2013年第3四半期に完了を見込む。