富士通研究所(以下、富士通研)とFujitsu Ireland Ltd.は6月28日、日常生活や医療を含む様々なシーンにおいてICTを活用したモニタリングや診断支援など、先進的な取り組みを進めているアイルランドの3研究機関(TRIL、CASALA、CLARITY)と共同で、2013年7月より3年間、アイルランドのスマートハウスに居住する高齢者や患者のモニタリングと自立生活支援を行う研究プロジェクト(KIDUKUプロジェクト)を開始すると発表した。
共同研究では、様々なセンサーで日常生活をモニタリングし、自立生活支援の専門医としての知見と、データ可視化・分析技術とを合わせることで、健康管理や自立生活支援を行うシステムの開発と、それを用いた高齢者や患者様向けのソリューション構築を目指す。プロジェクト名のKIDUKUという言葉には、「気付く」と「築く」との思いが込められている。
具体的には、スマートハウスに居住する高齢者や患者を対象に、屋内や屋外など多様なシーンにおいて身に着けたセンサーや、家や周辺環境に埋め込まれたセンサーから、心理的、物理的、そして生理学的、社会学的観点でデータを収集する。
自立生活を支援する専門医の知見と、データの可視化・分析技術を合わせることで、健康管理や日常生活上のICTによる支援を行うためのシステム開発と、そのシステムを用いた高齢者や患者様向けのソリューション構築を目指す。システムにて高齢者や患者をモニタリングすることで、病気の経過を観察し、治療が適切に進むように、高齢者や患者、その家族、そして主治医や専門医との情報共有を容易にする。転倒防止や慢性肺疾患など、いくつかの症例を対象に、研究を進めていく予定。
アイルランドの3研究機関は、「TCASALA(Centre for Affective Solutions for Ambient Living Awareness):センシング環境を備えた実験用スマートハウス「Great Northern Haven」をアイルランドのダンドークにて設立・運営し、居住者の方々の協力のもと、様々な機器の試験や活動のモニタリング、サービス提供実験などを実施」、「TRIL(Technology Research for Independent Living):病院内に設置された医療研究機関として、様々なセンシング技術や情報提示技術を用いて、高齢患者を中心にした自立生活支援を研究」、「CLARITY(Centre for Sensor Web Technologies):音声や映像を含むセンシングデータの可視化・解析技術と、スポーツや医療、日常生活などにおける、人の行動分析などの実績を数多く有する研究機関」。
今回の研究で、高齢者や患者様の病気の経過を観察し、治療が適切に進むような支援をはじめ、高齢者や患者様、その家族、そして主治医や専門医との情報共有を容易にするなど、高齢化社会における、自立生活支援へのICTの活用を目指します。