東京ビッグサイトで開催されていた「第25回 国際 文具・紙製品展」の会場内で、「第22回 日本文具大賞2013」が発表された。
「日本文具大賞」とは、機能面・デザイン面においてもっとも優れた文具に贈られるアワード。2012年7月以降に発表された文具の新製品・リニューアル製品の中から10製品を選定し、機能部門/デザイン部門といった2部門ごとに優秀賞・グランプリが決定した。
審査員は、デザインディレクターの川崎和男氏をはじめ、文房具ラバーなら誰でも一度は手に取る「モノ・マガジン」や「DIME」、「趣味の文具箱」の編集長など、名だたる面々が務めている。授賞式に出席した川崎氏は、デザインとは装飾ではなく「問題解決の手段」であると解説。そして同アワードの「デザイン賞」はいわば総合賞で、「機能賞」は中でも問題解決をよく果たしているものが選ばれるのだと説明した。
まず、「デザイン部門」の優秀賞を順番に紹介していく。
ポップでキュートな色合いが魅力的な、取り出すたびに絵柄が変わるフィルムふせん「Fujiyoshi Brother's Fun Flags」(シームーン)。若手アートユニット「フジヨシブラザーズ」による動物アートが、デスクまわりを華やかにしてくれそうだ。
カバーの絵柄(4色展開)が際立つメモ&ボールペンのセット「2face memo&pen」(新日本カレンダー)。スイスprodir社製のボールペンが収納可能。メモは5㎜方眼と無地の2種(100枚)が用意されている。
フラットな形状がスタイリッシュなマグネットタイプのクリップボード「Kalis マグネットクリップボード(マルアイ)。クリップで爪を傷める心配がなく、A4の書類を10枚まで挟むことができる。
ペンや手帳などのアナログ文具に加え、スマートフォンやタブレットなどをひとまとめにして、持ち運び出来る「SMART FIT キャリングポーチ」(LIHIT LAB.)。ポケットが少なくなるクールビズの時期には最も威力を発揮してくれそうだ。
"引き算"で新たな機能を追加したノート
そして「デザイン部門」でグランプリに輝いたのは「RE:FIN[E]D PRODUCTS / ウロコノート」(マークス)だった。
このノートには右側上部にミシン目で簡単に切り離せる「タブ」がついており、切り離して折り曲げると付箋のように使えるというもの。大事なページの目印にしたり、日付で管理したりと、ノートひとつでいつでもインデックスが作成できる。
同展示会の会場にて、「RE:FIN[E]D PRODUCTS / ウロコノート」プロジェクトリーダーの竹井宏明さんにお話を伺った。竹井さんは、「ノートに新たに何かを付け加えるのではなく、むしろ要素を引くことで新たな機能をプラスできるような物を作りたいと考えたんです」とデザイン意図を語ってくれた。「人がノートを前に無意識のうちにやっていること、例えば大事なところに印をつけたり、折り曲げたりすることを再発見することからスタートして、商品化までは約1年かかりました」と照れながら笑う竹井さんからは、隠しきれない喜びがあふれている。
また、竹井さんによれば、ミシン目のピッチがほんの少しちがうだけで外しづらかったり、逆に破れてしまったりしたそうで、試行錯誤を繰り返したという苦労話も。ネーミングについては、「形状が"魚のウロコ"のようなことはもちろんですが"目からウロコが落ちる"ような、もともとそこに存在していたのに見いだされていなかった機能をもつものは作れないか、という思いがそのままネーミングになったんです」とのことだ。
驚くことに、「ウロコノート」をリリースした企業・マークスは、昨年も最優秀賞を受賞しているのだ。「この会社は去年受賞しているから、今年はほかの会社に…」などという日本の悪しき風習をぶった切るような、「良いものは良い!」という審査員たちの気概にも実に感服する結果であった。