乳性飲料に通年性アレルギー性鼻炎を改善させる効果がある!? -伊藤園が確認

伊藤園は6月27日、フェカリス菌(殺菌体)入り乳性飲料の通年性アレルギー性鼻炎に対する症状緩和効果を確認したと発表した。

同成果の詳細は、2013年7月9日から北海道大学で開催される「日本乳酸菌学会 2013年度大会」で発表される予定。

季節性アレルギー性鼻炎としては、スギ・ヒノキ科、イネ科、キク科(ヨモギ、ブタクサ)などの花粉による花粉症があり、これら花粉症の人が乳酸菌などを摂取することで症状の緩和がなされることに関する試験が多数行われ、同社も2012年に花粉曝露試験施設を用いた、フェカリス菌含有乳性飲料のスギ花粉症に対する症状の緩和効果について報告していた。

今回の研究は、フェカリス菌(殺菌体)入り乳性飲料の通年性アレルギー性鼻炎症状に対する効果について、人における有効性の検証を目的として行われたもので、具体的には、民間の研究機関であるティーティーシーのサポートを受け、人を対象とした臨床試験(無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験)を実施した。

試験は通年性アレルギー性鼻炎患者40名を2群に分け、一方はフェカリス菌を含まない対照飲料、もう一方はフェカリス菌を1000億個含む試験飲料を1日1回、1本を8週間飲用してもらうという形で行われ、摂取開始前および摂取開始後4週目、8週目に一般臨床検査、アレルギー検査を実施。

アレルギー性鼻炎症状に関する評価は、症状に関する医師所見と問診、被験者の自覚症状で評価を行ったほか、免疫機能に関する評価として鼻汁中好酸球数、総IgE、特異的IgE(ダニ、ハウスダスト、スギ、ヨモギ)、Th1/Th2バランス(IFNγ / IL4比)について測定が行われた。

この結果、フェカリス菌入り乳性飲料の摂取前後では、くしゃみ、鼻汁などで改善傾向がみられたほか、鼻粘膜の色調については対照群と群間差がみられたとする。また、「鼻汁中好酸球数」の事前検査時の判定結果が陽性であった者を対象に層別解析を行ったところ、鼻閉症状、支障度で群間有意差がみられ、摂取前後では、鼻汁、支障度、重症度、IFNγ/IL4比で有意差がみられたという。

これらの結果から、研究グループでは、フェカリス菌を継続的に摂取することで通年性アレルギー性鼻炎の症状を緩和する可能性が示唆されたと説明しており、今後、おいしさはもちろんのこと、さまざまな素材の可能性を追求することを目的として研究を継続して行っていく方針としている。