ノエビアグループの常盤薬品工業は、これまで科学的根拠が少なかった食品のプラセンタエキスに関して、ヒトによる有用性の評価を実施した結果、経口摂取により、肌の保湿に関与している「インスリン様成長因子I(IGF-I)」の血中濃度が増加し、肌の粘弾性(ハリ)を有意に改善させることを明らかにしたほか、細胞を用いた試験から、その作用メカニズムの一端を明らかにしたと発表した。
同成果の詳細は、2013年6月28日~30日に横浜で行われる「第13回 日本抗加齢医学会総会」にて発表される予定。
近年、プラセンタを含有する医療用医薬品の注射剤(ヒト胎盤製剤)において、抗老化効果や美容効果が確認されるようになったきた。一方、食品分野ではブタやウマ由来のプラセンタエキスを配合した多くの美容系商品が販売されているが、その有用性が科学的根拠に基づいているという報告は少ない。
今回の研究は、食品のブタプラセンタエキスを配合したドリンクを女性に摂取してもらい、美容に関する有用性の科学的な検証を行ったほか、細胞を用いた試験から、その作用メカニズムの解析も行われた。
具体的には、プラセンタエキス(乾燥胎盤重量30000mg相当量)を配合したドリンクを8名の女性(40~65歳)に2カ月間毎日摂取してもらったところ、成長ホルモンの一種であるIGF-I の血中濃度が上昇し、肌の粘弾性が有意に改善したことが確認され、プラセンタエキスの経口摂取が美容効果を発揮することが示された。
また、細胞を用いた試験の結果、プラセンタエキスはIGF-Iの血中濃度を調節している因子である「IGF結合タンパク質」の遺伝子発現に対して働きかけ、血中IGF-I濃度を上昇させることが示唆されたほか、プラセンタエキスに含まれる分子量1000以下の成分にIGF結合タンパク質を調節する働きがあることが判明したという。
なお同社では、今回の成果を、より高い美容効果が期待できるプラセンタエキスおよび処方の開発に応用していく予定だと説明している。