米OracleとSalesforce.comは6月25日(米国時間)、戦略的提携を結んだことを発表した。9年間にわたる包括的なもので、クラウド分野の3つの層が対象となる。
Oracleは前日に宿敵Microsoftと手を結んだばかり。Salesforceとの関係は、イベントで相手の戦略を批判するなど不仲が報じられていたが、クラウドをはさんで握手を交わした形となる。
提携は、クラウド分野におけるアプリケーション、プラットフォーム、インフラの3つの層を対象とする。Salesforceは自社クラウドインフラで、「Oracle Linux」、「Exadata」ベースのハードウェア、「Oracle Database」、Javaミドルウェア、とOracleのインフラ技術を利用した標準化を進める。一方のOracleは、自社の人事と財務クラウドサービス「Fusion HCM」「Financial Cloud」で、CRMなどのSalesforce.comのサービスを統合する。Salesforce.comはまた、OracleのFusion HCMとFinancial Cloudを社内で実装するという。
この提携の期間は9年間、財務的な詳細は公開されていない。
Salesforce.com 創業者兼CEOのMarc Benioff氏は、Oracleの出身。Salesforce.comのインフラはすでにOracle技術を一部利用しているが、OracleがSalesforce.comのテリトリーへと拡大する中で意見の相違もみられ、2011年の「Oracle OpenWorld」ではBenioff氏の基調講演がキャンセルとなるなどの騒ぎもあった。
Oracleは24日のMicrosoft、25日のSalesforce.comと、2日続いてクラウドで大型の提携を交わしたことになるが、今回の提携は高速インメモリ技術「HANA」で自らのクラウド基盤を強化し、人事系SaaS大手のSuccessFactorsの買収などを通じてクラウド戦略を進めているSAP対抗の意味合いも強そうだ。