出光興産は6月24日、同社のシンジオタクチックポリスチレン樹脂(SPS)「ザレック」への高周波回路基板向けめっき加工技術を開発したことを発表した。
高周波・高速伝送回路基板には電気信号の高速伝送特性と、誘電損失の低い材料が求められるため、一般的には高価なフッ素樹脂や液晶樹脂などが用いられており、性能を維持しながら、低コスト化を実現することが求められていた。
SPSは低誘電率、低誘電損失といった電気特性のほか、耐熱性・耐加水分解性、耐薬品性、低吸水性、低比重などの特性を有しており、自動車の電装関連の材料を中心に年率10%に近い伸びで需要が拡大している材料で、同社では2008年より、日本表面処理研究所と共同で、安定して電気を速くかつロスを最小限に抑えて送るという優れた電気特性を持つ高周波・高速伝送回路基板を製造することを目的に、SPSに対する新規めっき加工技術の開発を進めてきたという。
今回開発された技術は、原料配合を最適化したSPSを用いて押出成形したプレートの表面に日本表面処理研究所が保有する独自の表面処理技術とめっき技術を組み合わせることで、表面を大きく粗面化することなく密着性の高い導体金属層を形成するというもので、これによりSPSが持つ優れた特性を生かした高周波・高速伝送回路基板の製造が可能となったと同社では説明している。
そのため、今後、同社では同技術をミリ波レーダーシステムなど、自動車や家電・モバイル機器分野を中心に積極的に用途開拓を目指した取り組みを進めていく計画としている。