ポーラ美術館は、レオナール・フジタ(藤田嗣治、1886~1968)の最初期の作品と、戦後のフジタの芸術をひもとく未発表作品2点を新たに収蔵した。これら3点の作品は、同館で7月13日から開催する「モネ、風景をみる眼―19世紀フランス風景画の革新」展に併せて公開される。入館料(企画展と常設展を鑑賞可能)は、大人1,800円、大学・高校生1,300円、中・小学生700円(土曜日は無料)、シニア(65歳以上)1,600円、障害者手帳所有者と付添者1名1,000円。
このたび新たに収蔵された作品は「キュビスム風静物」、「シレーヌ」、「グロテスク」の3点。フジタの作風として最も有名なエコール・ド・パリ時代の乳白色の表現や、晩年の少女や子どもを描いた作品群とは異なる、フジタの画業の新たな側面を紹介する作品となっている。
「キュビスム風静物」は、フジタがエコール・ド・パリの画家として「乳白色の肌」の表現で名声を博す前の最初期の頃のもので、そのタイトルの通り、当時ピカソらが取り組んでいたキュビスムの影響がみられる。若きフジタが、当時の西洋における前衛的な美術の潮流に身をおき、新たな表現を吸収しようとする意欲が感じられる作品となっている。また、「シレーヌ」および「グロテスク」はフジタが興味を抱いていた寓話や神話の中の幻想的なモチーフを描いた作品。この2点は、神話や寓話、「グロテスク」への傾倒といった、これまであまり紹介されてこなかったフジタ芸術の側面に光をあてるものといえる。2点ともに未発表作品で、ポーラ美術館での公開が世界初となる。
なお、同館は日本国内で最多のレオナール・フジタ作品を所有している美術館であり、今回3点の絵画が加わったことにより、収蔵作品数は合計175点となった。第二次世界大戦後の「子ども」を主題とした絵画が主要なコレクションで、内訳は油彩画162点、水彩画3点、挿絵本6点、版画集1点、本2点、立体作品1点とのことだ。