ネットワンパートナーズは、ネットワーク分野でも有数の技術力を持つネットワングループの一員であり、主にパートナー企業とタッグを組んでユーザーの課題解決に取り組むソリューションプロバイダーだ。単なる物流・販売代理店にとどまらず、"高付加価値ディストリビュータ"として、パートナー企業とユーザー企業のシステム構築・運用を支援するというのが、同社の理念である。
同社は2013年6月13日、千葉・幕張メッセで開催されたInterop Tokyo 2013の会場で、「仮想化環境におけるストレージ選定」と「ラッカスの提供するSmart Wi-Fiテクノロジー」という2つのセミナーを開催した。仮想化とモバイルは、現在のネットワーキング/コンピューティング分野でも特にホットなテーマで、会場はどちらも聴講者で満席であった。
今回は、2つの講演内容を紹介しつつ、ネットワンパートナーズが仮想化&モバイル分野に提供する"価値"を探ってみよう。
技術者不足が大きな課題となる仮想化への移行
「仮想化環境のストレージ選定」に登壇したのは、ネットワンパートナーズ プラットフォーム営業部の堀切裕史氏だ。
現在、多くの企業で仮想化への移行が進んでいるが、幾つもの課題が残されている。堀切氏は大別して、「仮想環境の拡大」「エンジニアリソースの不足」「ディスク性能の限界」「管理維持費用の増大」「俊敏性への要求増大」「爆発的に増大するデータと分析要求」という6つを挙げた。
仮想環境の拡大とエンジニアリソースの不足は、つながりが深い。仮想化環境が広がるにつれて複雑さが増し、複数のアプリケーションを混在させるため、基盤の構築には高度なノウハウが必要となる。一方で、仮想化を熟知した技術者が圧倒的に少ないという問題がある。
ユーザー企業の要望を聞くと、保有する情報の機密性などから、パブリッククラウドには移行したくないというケースが少なくない。そうすると、通常はプライベートクラウドへの移行という流れになるが、そこでも課題が山積みだ。大きな理由の一つとして挙げられるのが、複雑化した仮想化環境で単一のメーカー製品に縛られると、各コンポーネントにおいてベストの選択ができない、という懸念を抱えることだという。
そこで、ディストリビュータであるネットワンパートナーズの利点が活きる。堀切氏が課題解決策の1つとしてあげるのが、米VCEの垂直統合型プラットフォーム「Vblock」だ。
米VCEは、ヴイエムウェア、シスコシステムズ、EMCの3社が共同出資して作られた企業であり、Vblockはその3社の最新技術・製品を組み合わせたパッケージ製品である。前述したようなエンジニアリングの懸念は、社員の7割が技術者というVCEがすべて吸収してくれる。国内では東京電機大学が2011年、ネットワンパートナーズやキヤノンITソリューションズの協力の下、Vblock 300の国内第1号機を導入したという。
汎用型ストレージから用途別ストレージへ
堀切氏が大きな課題の1つとして取り上げたのは、講演タイトルにもあるように、ストレージの選定である。
コンピューティング技術において、CPUやネットワークの性能は「ムーアの法則」に則って急速に進化していることは確かである。ところが一方で、ストレージ技術の主流であるハードディスクドライブ(HDD)は、すでにアーキテクチャの限界を迎えているというのが堀切氏の主張だ。実際、HDDの容量は年々増しているものの、パフォーマンス自体はここ数年ほとんど変化がない。
しかし、ストレージ技術自体が限界というわけではない。最近注目されているフラッシュメモリの技術は、ムーアの法則を超えて急成長しているという事実がある。
そこで堀切氏は、フラッシュメモリを視野に入れた新しいストレージ活用の階層化を考えてほしいと強調。これまでは用途に関わらず汎用ストレージを用いてきた。しかしこれからは、超高性能なストレージ、仮想化環境に適したストレージ、ビッグデータを扱うためのストレージなどと、用途に合わせたストレージを採用することが主流になると、堀切氏は述べる。
現在、主流のストレージ技術・製品は、大別すると「サーバ内蔵フラッシュ」「フラッシュアレイ」「SSD/HDDハイブリッド」の3タイプに分けられる。それぞれ容量・応答時間のほか、容量あたりの製品コストも大きく異るため、用途に合わせて上手に選定して使い分けることが、仮想化環境の最適化につながる。
ネットワンパートナーズでは数多くのストレージを取り扱っているが、今回堀切氏は、仮想化環境に適したものとして2つの製品を紹介した。
1つは、米Tintriの「VMstore T540」だ。VMstore T540は、前述のSSD/HDDハイブリッドに当たる製品であるが、実際にはI/Oの99%以上がSSDにヒットする独自技術を開発しており、フラッシュアレイ並の性能を引き出しながら、価格を抑えることが出来るという。
もう1つは、米Violin Memoryの「フラッシュメモリーアレイ」だ。フラッシュメモリをアレイ化した共有ストレージで、すべてのコンポーネントを冗長化しているため高可用性に富み、HDDストレージに対して数十倍の性能を提供しつつ、容量あたりスペースは1/250、消費電力量は1/40に抑えられている。