セイコーエプソン(以下、エプソン)は6月19日、日本国内の2拠点に総額約160億円を投資し、インクジェットプリンタ用のコア部品である次世代プリントヘッドの新規生産ラインを構築、量産を開始したと発表した。まずは2013年度に発売するビジネス系と産業系のプリンタから順次搭載していく。

6軸ロボットを使用した次世代プリントヘッド組み立てラインの一部(東北エプソン)

本プリントヘッドは、アクチュエーターを形成するピエゾ材料の開発から独自に行っており、生産には、超微細MEMS加工や正確かつ精密な装置制御など、高度な技術が必要不可欠で、また生産ラインの立ち上げも難度が高く、長年にわたり培った同社のものづくり力を最大限に発揮することも必要だった。

このため、生産ラインは同社の技術開発の集積地である日本国内に立ち上げることとし、諏訪南事業所(長野県諏訪郡富士見町)と東北エプソンに、2011年度から2013年度までの3年間で総額約160億円の投資を行う。

諏訪南事業所では、プリントヘッド製造の前工程を受け持ち、プリントヘッドのコアとなる超微細MEMS構造部の製造を行い、東北エプソンでは、後工程としてプリントヘッドの組み立て作業を行う。

また、同社のFAロボット技術も駆使して完全自動組み立てラインを構築することで、生産性と品質についても飛躍的な向上を図った。

このように、日本国内で一貫生産を行うことで、次世代プリントヘッドに関する技術的ノウハウの蓄積を図るとともに、生産技術を盤石なものとし、コア部品製造の役割を担う国内生産拠点の競争優位性をさらに向上させていくことも狙いとしている。

今回の生産投資は、同社の長期ビジョン「SE15」および「SE15後期 新中期経営計画」で目指すインクジェットプリンタの事業領域強化・拡大に向けて非常に重要な意義を持つもので、今後、この次世代プリントヘッドの活用を進めるとともに、プラットフォームとして進化させていくことで、さらなる競争力の強化、事業の拡大を図っていく。